ジャンセン周辺の拡大です。ジャンセンは直径200キロのクレーターで内部に細い峡谷(ジャンセン峡谷など)がありますが、その西側には幅の広い長いレイタ谷がクレーターを削りながら走っています。この細い峡谷(Rille)と太い谷(Valley)の存在がこの境域の特性と言えます。
ジャンセンのほかにも、ポシドニウス、ガッサンディ及びアルフォンススといったクレーターの内部には細い峡谷が走っていますが、ジャンセンは、他のクレーターに比べて周壁の崩壊が進んでおり、内部の谷も控えめです。そのため地形としての「古さ」が際立ち、衝突後の長い年月におよぶ風化や地殻変動の影響が色濃く残っています。クレーター内の峡谷は、主に衝突後の地殻の緩みや火山活動によって形成されたと考えられています。一方で、レイタ谷は全長約500km、幅最大30kmにも及ぶ巨大な構造でありクレーター内の峡谷とはまったく異なります。成因としては、月全体の地殻活動に関わる大規模な力学的プロセスが関与していると考えられています。
まとめると… ジャンセンなどのクレーター内峡谷は「局所的・構造的」な地形なのに、レイタ谷は「広域的・力学的」な地殻変動の痕跡で、スケールも成因も異なる月面地形の多様性を象徴しています。
撮影条件:スカイウオッチャー(SW DOB16 反射/SW EQ8R赤道儀/SWコマコレクター (F4-5用)/テレビューパワーメイト 2.5 x (合成f 4500mm F 11.25/バーダーIRパスフィルター695nm/ ZWO ASI 178MM CMOSカメラ 100フレーム/10秒、2025年6月1日19時20分56秒、自宅にて。