
IC1396星雲(象の鼻星雲)は、ケフェウス座に広がる巨大な散光星雲で、満月6個分の広がりを持つ領域です。中心には若い散開星団 Trumpler 37 があり、高温の大質量星が水素ガスを電離し赤く輝くHα領域を形成しています。象の鼻状の暗黒星雲は新しい星を育む「星形成領域」で、外側からの強烈な紫外線によって彫刻のように削られたガスと塵の柱です。特に先端部には原始星が多数確認されており、星が誕生する瞬間ということで科学的にも重要な対象です。複雑に入り組んだ暗黒帯、淡い輝きのHII領域、そして背景に散らばる無数の星々が重なり、IC1396は広視野撮影でこそ真価を発揮する「構造の美しさと科学的ドラマ」が共存する名星雲です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.07.26 01:54 / 総露光114分
2026/07/29
初秋の宝石箱(2)-象の鼻星雲(IC1396)ー
2026/07/27
初秋の宝石箱(1)-巨大な宇宙の泡 (NGC7635)ー
カシオペア座の泡星雲(NGC 7635)は、直径約7光年の巨大なガスの泡が宇宙空間に浮かぶ、印象的な散光星雲です。中心で強烈な恒星風を吹き出すO型星 BD+60°2522が周囲の水素ガスを押し広げ、まるで宇宙に石鹸泡が膨らんだような構造を形成しています。星雲の外縁が明るく輝くのは、衝撃波で圧縮されたガスが電離し、HαやOIIIの輝線を放つためです。距離は約7,100光年、星形成が盛んなカシオペア座の分子雲複合体の一部に位置し、恒星の進化と周囲の星間物質の相互作用を示す好例として研究対象にもなっています。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.07.25 05:32 / 総露光48分
2026/07/26
春の北天銀河(39)ー 北天の銀河 見かけは大きめでもつかみどころのない淡い銀河 NGC 4236 ー

NGC4236は、おなじみM81銀河群の一員で、全長約2万光年以上に広がる棒渦巻銀河です。しかしその姿は非常に淡く、腕の構造もはっきりしないため、観察者泣かせの対象として知られています。星形成領域は散在的で、銀河全体の表面輝度が低いことが特徴です。
今回のSeestar S50による63分露光では、中心部のわずかな明るさと、周囲に広がる薄い星間物質の広がりが静かに浮かび上がりました。派手さはないものの、M81群の中で最も「控えめな銀河」ともいえる存在で、淡い光の中に銀河進化の多様性を感じさせてくれます。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.07.24 23:08 / 総露光63分
2026/07/20
春の北天銀河(38)ー 北天の棒渦巻銀河 NGC 7479(C44)ー
2026/07/16
春の北天銀河(14再撮影)ー色彩豊かな中心部と淡い周辺部から成るM106銀河ー(6月1日)
りょうけん座の渦巻銀河 M106(NGC 4258) を Seestar S50 で撮影しました。地球から約 2,300 万光年の距離にあり、中心部には強い電波を放つ 活動銀河核(AGN) が存在します。そのため核周辺は色彩豊かで明るく輝き、独特の「異常腕(anomalous arms)」と呼ばれる構造が見られることでも知られています。一方で、銀河外縁の淡い腕は非常に光度が低く、長時間露光を重ねても浮かび上がらせるのが難しい領域です。今回の撮影でも、中心部の力強い輝きと対照的に、周辺部は繊細な階調が求められる挑戦的な対象でした。5月4日に掲載した画像(3月15日撮影)の方が外周の写りはよいようです。見比べてみてください。なお、南側に見えているNGC 4248 は、りょうけん座に位置する小型の不規則銀河で、視野上は 近いですが、最新の距離測定では M106 とは別の距離にある銀河とされています。
撮影データ:M106 / 149min / Seestar S50 / 2026.06.01 01:42
夏の天の川散歩ー北天の散光星雲(6)暗黒帯に浮かぶ、はくちょう座のまゆ星雲(ICIC 5146)
はくちょう座の暗黒帯に浮かぶ「まゆ星雲(IC 5146)」を Seestar S50 で撮影しました。約 4,000 光年の彼方に位置し、中心には誕生したばかりの若い星が潜んでいます。周囲を取り巻く赤い輝きは、水素ガスが高エネルギー光で励起されることで生じる Hα(輝線) の発光です。この領域の魅力は、星雲の背後に広がる暗黒星雲(バーナード列)が複雑に入り組み、星々の光を遮りながら立体的な陰影を作り出す点にあります。星形成が進む分子雲と、輝く星雲、そして密集した星野が一枚に収まり、まさに「銀河の織物」と呼びたくなる景観です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.06.01 03:03 / 総露光58分
2026/07/14
春の北天銀河(37)ー 北天に潜む“片目”の渦巻銀河、M64(黒目銀河)ー
M64はかみのけ座に位置する距離約 1700万光年 の渦巻銀河で、中心部を横切る濃い暗黒帯が“黒目”のように見えることから「黒目銀河」として知られています。核の周囲のこの暗黒帯は、銀河内部のガス運動が内側と外側で逆回転しているという特異な力学構造と関係していると考えられています。外側の円盤は淡く広がり、内側の高密度領域との対比が強いため短い露光でも“黒目”が印象的に写ります。北天の銀河シリーズの中でも、M64は形態の分かりやすさと科学的個性が両立した代表格と言える存在です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.30、22h :03m / 総露光18分
2026/07/13
春の北天銀河(36)ー ゆるやかな棒状構造をもつ淡い渦巻銀河 (NGC 3319 )ー
2026/07/12
春の北天銀河(35)ーNGC 3189 を中心とした小規模銀河群 HCG44 ー (5月29日)
NGC3189(別名NGC3190)を中心に広がるこの領域は、Hickson Compact Group 44(HCG44)という小規模銀河群で、約 8,000万光年 の距離にあり、重力的に影響し合う銀河が密集する興味深い領域です。画像には、NGC3185(棒渦巻銀河)・NGC3187(強くねじれた渦巻構造)・NGC3193(楕円銀河)が同一視野に収まり、形態の違いが一目で分かります。小型望遠鏡でもこれだけの構造が捉えられるのは、長時間露光の積み重ねによる成果で、銀河群の個性が美しく浮かび上がりました。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.29、22h :53m / 総露光113分
2026/07/09
春の北天銀河(34)M90とIC3583:近接して見えていても実は離れていて、性質の異なる銀河ペア (5月19日)
今回の画像は、うしかい座のM90(NGC 4569)とすぐ北側に位置するIC 3583です。両者は見かけ上近接していますが実際には離れていて、物理的な相互作用は確定していません。むしろ、性質の違いが際立つ興味深い組み合わせです。
M90は、距離約 5,500万光年、スピンドル状の美しい渦巻銀河。IC 3583は、距離は約 3,000万光年前後で、M90とは距離が一致していない小型不規則銀河で、見かけ上はペアのように並ぶものの、実際には異なる距離にあり、進化の背景もまったく異なる銀河同士という点が、この組み合わせの最大の見どころです。Seestar S50による61分露光で、M90の淡い外縁部とIC 3583の不規則な姿が捉えられています。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.19、21h :30m / 総露光61分
2026/07/08
春の南天銀河(11)ーおとめ座の「速度異常を示す特異な銀河」M98 (NGC4192) ー (5月20日)
M98の南側に位置する NGC 4186 は、距離約 5,000万光年前後 の渦巻銀河で視直径は 約2′ と小さ目です。分類は SAB(s)c の「小型スパイラル銀河」に属します。おとめ座銀河団の周縁部に位置しており、M98と同じく銀河団の重力場の影響を受けている可能性が高い天体です。
撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.20、00h:42m / 総露光60分
2026/07/07
夏の天の川散歩 ー南天の散光星雲(4再)干潟星雲(M8)と三裂星雲(M20)ー(5月19日)
夏の天の川を代表する二大星雲、M8(干潟星雲)とM20(三裂星雲)を同一視野で収めた一枚です。どちらも射手座方向の大規模な星形成領域で、若い高温星が周囲のガスを強く照らし出しています。M8(干潟星雲) 約4,100光年の距離にある巨大なHII領域で、中央の明るい星団(NGC 6530)が星雲全体を輝かせています。複雑なガスの濃淡と広がりが圧倒的で、夏の代表的な撮影対象です。M20(三裂星雲) 赤い発光星雲と青い反射星雲が同居し、暗黒帯が三方向に伸びる独特の構造が特徴です。色彩の対比が美しく、干潟星雲との並びはまさに「夏の名コンビ」といえます。
Seestar S50による撮影でも両者の個性がしっかり表現され、天の川中心部の豊かな星々とともに、夏の空の迫力を感させる仕上がりになりました。
撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.19、03h:32m / 総露光49分
夏の天の川散歩ー北天の散光星雲(5)はくちょう座のHII領域複合体を形成する小さな星雲、IC5068 ー(5月19日)
夏の天の川散歩 ー北天の散光星雲(5)— 明るく広がる超新星残骸の網状星雲東側(NGC 6962)ー(5月18日)
2026/07/06
春の北天銀河(4 再掲載) ー同一視野で楽しむ星雲と銀河の対照的な姿ーふくろう星雲(M97)と 葉巻星雲 (棒渦巻銀河 M108)ー(5月17日)
今回の画像は、ふくろう星雲として知られる惑星状星雲 M97 と、棒渦巻銀河 M108 を同一視野で捉えた人気のツーショットで、2月16日にも同様な画像を掲載しています。わずか50mm口径のSeestar S50でも両者がしっかり写るのは驚きで、拡大画像ではそれぞれの特徴がより明瞭に確認できます。片方は天の川銀河内の近傍天体、もう片方は数千万光年彼方の巨大銀河というスケール差が際立ち、天体写真ならではの醍醐味を感じさせる組み合わせです。
M97(惑星状星雲) 地球から約2,000光年。中心星の放出したガスが球状に広がり、淡い青色の光が印象的です。内部の濃淡構造が「ふくろうの目」に見えることからこの愛称が付いています。
M108(棒渦巻銀河) 約4,500万光年の距離にある銀河で、正面ではなく横から見た形のため、細長い銀河円盤と不規則な暗黒帯がよく目立ちます。中心部の輝度が高く、周囲の淡い外縁部まで写ると立体感が出ます。
夏の天の川散歩 ー北天の散光星雲(4)アイリス星雲(C4, NGC 7023)ー(5月18日)
北天で最も迫力ある球状星団 -M13-(5月13日)
M13球状星団は、約2万5千光年の距離にあり、直径は約150光年、数十万個もの古い恒星がぎっしりと詰まっています。年齢は120億年以上とされ、銀河系形成初期の姿を今に伝える“化石的天体”です。球状星団の画像処理で難しいのは、中心部の強烈な輝きと外側の淡い星々のバランスですが、今回のM13は7分露光ながら密集したコアの輝きと周辺の星の広がりがよく分かる写りになりました。特に中心部の粒状感がしっかり出ており、Seestar S50でも球状星団の立体的な構造が十分に楽しめることを示す好例だと思います。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.13, 23h:14m / 総露光7分
M81の静、M82の動──Seestar S50で描き分ける銀河の個性(5月10日)
今回、Seestar S50で同一視野に収めたM81とM82を、それぞれに適した画像処理で仕上げてみました。両者とも赤成分が弱く、特にM82の中心から吹き上がるジェット状アウトフローは迫力が控えめですが、銀河の性質の違いは十分に感じられます。M81は、距離約1200万光年、典型的な大型渦巻銀河で、明るい核と整った腕の構造が安定して写り、長時間露光の効果が素直に出ます。一方のM82は「スターバースト銀河」として知られ、激しい星形成が進む不規則形の銀河です。赤いアウトフローは弱めながらも、細長い本体の質感や中心部の微細構造は表現できているかと思います。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.10, 21h:34m (M82)、22h:38 (M81) / 総露光70分 (M82)、115分 (M81)
2026/07/05
春の北天銀河(34)ー北天の花火銀河(C12/NGC 6946)ー(5月17日)
NGC 6946(C12、花火銀河)は、はくちょう座とケフェウス座の境界付近に位置する距離約2200万光年のフェイスオン銀河で、星形成が非常に活発なことで知られています。過去100年ほどの間に10個近い超新星が観測され、「花火」の名の由来となっています。渦巻腕は比較的ゆるやかで、淡いながらも複数の腕が重なり合うように広がっています。今回の画像では、主要な渦巻構造がはっきりと捉えられ、夏の天の川の星々の中に浮かぶ遠方銀河の存在感が際立っています。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.17, 03h:51m / 総露光57分
夏の天の川散歩 ー北天の散光星雲(3)網状星雲(NGC6960)ー(5月15日)
2026/07/04
夏の天の川散歩 ー南天の散光星雲(4)三裂星雲(M20)— 赤と青が織りなす“二重構造”の美ー(5月11日)
M20(三裂星雲)— 赤と青が織りなす“二重構造”の美
赤い散光部と青い反射部が鮮明に分かれ、三裂構造を形づくる暗黒帯もよく写り込みました。青成分は小口径では難しい対象ですが、Seestar S50による今回の撮影では期待に近い色調が得られ、星雲の立体感が際立っています。M20は約5,000光年先、いて座の銀河系中心方向に位置し、星形成の盛んな領域です。中央の若い大質量星が周囲のガスを強く照らし、赤い電離ガス(Hα)と青い反射星雲が接する構造を持つ美しい星雲です。小型スマート望遠鏡での作例ですが、M20の魅力を素直に伝えてくれる仕上がりです。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.11, 02h:48m / 総露光70分
2026/07/03
夏の天の川散歩 ー南天の散光星雲(3)わし星雲(M16)ー(5月14日)
夏の天の川散歩 ー南天の散光星雲(2)オメガ星雲(M17)ー(5月14日)
M17(オメガ星雲/白鳥星雲)は、いて座に広がる代表的な散光星雲で、地球から約5,000〜6,000光年の距離に位置する巨大な星形成領域です。今回のSeestar S50による101分露光では、Hαを中心とした輝線が見事に捉えられ、雲状構造の複雑な濃淡や、若い星々が周囲のガスを照らし出す様子が細部まで浮かび上がりました。中心部の明るい“くちばし”状の形は、強烈な紫外線を放つO型星団によって彫刻されたガスの壁で、M17の象徴的な姿です。M17は夏の天の川を彩る人気対象で、毎年この季節になると世界中の観測者が撮影を楽しむ恒例イベントのような存在です。今回の画像は、コンパクトな機材ながら星雲内部の微細構造まで写り込んでおり、夏の星雲撮影の醍醐味が詰まった一枚と言えます。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.14 01h:49m / 総露光101分
2026/07/02
クジラ銀河(NGC 4631)拡大像 ― 透明度の良い夜が描き出した微細構造
4月21日に撮影したクジラ星雲を6月25日に掲載したばかりですが、今回アップする5月9日のクジラ銀河は、同じSeestar S50による撮影とは思えないほど微細構造がよく写りました。この夜は透明度が高かったのか、シーイングが良かったのか、銀河の縁のささくれたような質感や、中心部の濃淡の変化がはっきりと浮かび上がっています。特に、銀河の外縁に沿って伸びる淡い光の筋や、内部の青白い星形成域のざらつきは、拡大してこそ分かる見応えのあるディテールです。同じ対象でも条件次第でここまで表情が変わることを改めて実感させられる一枚となりました。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.10, 00h:19m / 総露光86分
2026/07/01
夏の天の川散歩 ー南天の散光星雲(1)干潟星雲(M8)と猫の手星雲ー(5月10日)

散光星雲 M8(干潟星雲)を、Seestar S50で55分露光しました。視野いっぱいに広がる赤い輝きは電離した水素ガスの発光で、星形成が現在も進行している領域です。中心部の明るいHII領域と複雑な暗黒帯が織りなす造形は、何度見ても圧倒的な迫力があります。ただし、M8は日本から見ると南中高度が低く、撮影が限られる難物でもあります。透明度の良い夜でないと細部の構造を捉えることができません。また、M8の東側には「猫の手星雲」と呼ばれる領域が連なっており、淡いガスの広がりがまるで猫の前足のように見えることからその名が付いたと言われています。干潟星雲と猫の手星雲は、夏の天の川を代表する見応えある対象です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.10 02h:40m / 総露光55分


















