2025/06/22

くじら銀河(NGC4631)(撮影:6月19日)


NGC 4631(くじら銀河) の特徴:りょうけん座にあり、地球からの距離は約3000万光年、銀河円盤を真横から見る形になり、「くじら」に例えられます。銀河中心部では活発な星形成(スターバースト)が進行中で、超新星爆発も頻繁に起きています。すぐ隣にある矮小楕円銀河NGC 4627と重力的に相互作用しており、これがNGC 4631の形を歪めていると考えられています。銀河のみかけの大きさ(視直径)が約15.5×2.7分と大きく、明るさも9.3等級と明るいため観測しやすく人気があります。撮影条件:SW DOB16反射望遠鏡 (D40 cm, FL 180 cm)/ キャノンEOS6D/ISO 6400, 露出3秒, 275枚をDSS (deep sky stack) スタッキング.   2025年6月19日22時31分-55分(総露出24分)、自宅にて。


ひまわり銀河 (M63)(撮影:6月19日)

 40㎝反射赤道儀で系外銀河を撮ってゆくにあたりいくつかの方針を試してみたいと思います。昨今は冷却CMOSカメラ全盛期ですが、これまでのキャノン一眼レフEOS6Dへの愛着も深く、空の明るい自宅での短時間撮影で満足できる撮影条件を探ってみました。ポイントは、1) 露出時間 を数秒以内とする、2) 撮影枚数を500枚以上とすることです。3) これにより多少明るい空でもQBPフィルター  など使わずに9,10等クラスの暗い銀河が写せるかどうか、4) 満足な画像に必要なスタック枚数を知る、などです。今回の標的は「M63ひまわり銀河」です。2秒露出で500枚撮影しました。
 M63銀河はその渦巻の腕が花びらのように広がる様子がヒマワリを連想させることから、「ひまわり銀河」と呼ばれています。中心部は黄色みを帯びて明るく、外縁部にかけて淡く広がる構造が特徴的です。ハッブル分類ではSA(rs)bc型に分類される非棒渦巻銀河で、中心核の周囲にリング状の構造(rs)を持ち、緩やかな渦巻腕をもっています。地球からの距離は約2670万光年でみかけが8.6等級と比較的明るく、アマチュアにも観測可能です。
撮影条件:SW DOB16反射望遠鏡 (D40 cm, FL180 cm)/ Canon EOS6D/ISO 6400, 露出2秒, 500枚をDSS (deep sky stack) スタッキング.   2025年6月19日21時01-22時09分(総露出68分)、自宅にて。

2025/06/17

マリウス周辺(2024年11月13日)

   

    マリウス周辺の地域は、月の火山活動の痕跡を色濃く残しており、月の内部構造や熱史を探るための重要な研究対象です。特にマリウス丘の地下空洞は、将来の有人探査や居住施設の設置のための「天然のシェルター」としての可能性も秘めています。

マリウスクレーター(Marius Crater)は、月の北西部、「嵐の大洋(Oceanus Procellarum)」に位置する直径約41kmのクレーター。溶岩に満たされた浅いクレーターで、内部は比較的平坦。周囲には「リンクルリッジ(wrinkle ridges)」と呼ばれるしわ状の地形が南北に走っています。

マリウス谷(Rima Marius)は、非常に細いリル(rille:溶岩流の痕跡)で全長は数十kmに及びます。非常に細いため条件の良いときでないと観察が困難。

マリウスの丘(Marius Hills)は、多数の小さなドーム状の丘が密集しており月面でも最大級の火山性地形群で、かつての玄武岩質の火山活動によって形成されたと考えられています。日本の月探査機「かぐや」によって、直径約50〜70mの縦穴(skylight)が発見されました。これは地下に続く溶岩チューブ(lava tube)の入り口とされ、将来の月面基地候補地として注目されています。

撮影条件:SW DOB16反射/SW EQ8R赤道儀/SWコマコレクター (F4-5用)/テレビューパワーメイト 2.5 x (合成f 4500mm F11.5) /バーダーIRパスフィルター695nm/ ZWO ASI 178MM CMOSカメラ 200フレーム/10秒。2024年11月13日22時15分,  自宅にて。


2025/06/15

湿りの海南部のドッペルマイヤー、リー、ヴィトロ (2024年11月13日)

湿りの海の南部には形の似たドッペルマイヤー、リー、ヴィテロの3つのクレーターがあります(今年の5月30日付で当ブログにアップした「湿りの海とガッサンディ」の画像をご参照ください)。
 ドッペルマイヤーは、直径約64kmのクレーターで半分溶岩に埋もれています。通常、隕石の衝突でできるクレーターの中央丘は衝突時の反動で形成されますが、ドッペルマイヤーの中央丘はそれとは異なり、火山性の隆起でできた可能性があります。リーは小さなクレーターで溶岩流による埋没が進んでいます。ヴィテロ内部には隕石衝突によってできた複数の小クレーターが存在していますが埋没の度合いは小規模です。このように月のクレーターは単なる衝突の痕跡ではなく月の進化の過程を物語る貴重な存在です。
    撮影条件:SW DOB16反射/SW EQ8R赤道儀/SWコマコレクター (F4-5用)/テレビューパワーメイト 5 x (合成f 9000mm F23) /バーダーIRパスフィルター695nm/ ZWO ASI 178MM CMOSカメラ 200フレーム/10秒。2024年11月13日21時44分,  自宅にて。

2025/06/10

シラー-ズッキウス ベイスン (2024年11月13日)

   
 シラー-ズッキウス ベイスンは、月面南西部に位置する大きな「衝突盆地」で直径約335kmもあります。衝突盆地とは大規模な隕石や小惑星が天体の表面に衝突した際に形成される広大な円形の地形のことで、シラー-ズッキウス ベイスンは、三重のリング構造を持つ特徴的な地形で、外側の2つのリングは比較的明瞭ですが、最も内側のリングは、画像中の「ベイスンの文字が置かれた部分」を含む不明瞭な尾根に囲まれた窪みのような部分です。かつては巨大なクレーターとの認識でしたが現在は衝突盆地とされています。周辺には、シラー(179 × 71km)やズッキウス(直径64km)といったクレーターが存在し、これらの地形が盆地の形成に関与していると考えられています。Lunar 100の59番に指定されており、月面地形の中でも興味深い観測対象の一つです。

撮影条件:SW DOB16反射/SW EQ8R赤道儀/SWコマコレクター (F4-5用)/テレビューパワーメイト 2.5 x (合成f 4500mm F11.5) /バーダーIRパスフィルター695nm/ ZWO ASI 178MM CMOSカメラ 200フレーム/10秒。2024年11月13日22時4分,  自宅にて。

2025/06/09

クラビウスのクレーター底(2024年11月13日)

 

 クラビウスは直径約225kmの大クレーターです。大きさは東京から名古屋までの直線距離に相当します。内部(クレーター底)には大小のクレーターが円を描くように並んでいて独特の景観を醸し出しています。月の歴史を語るタイムカプセルとも言えるかも知れません。過去に隕石の激しい衝突が繰り返されて多くのクレーターができ、熱で溶けた溶岩があふれて流れ、線状構造を形成したことなどが推定されます。月はかつて活発な地殻変動を繰り返していたのです。

撮影条件:SW DOB16反射/SW EQ8R赤道儀/SWコマコレクター (F4-5用)/テレビューパワーメイト 5 x (合成f 9000mm F23) /バーダーIRパスフィルター695nm/ ZWO ASI 178MM CMOSカメラ 200フレーム/10秒。2024年11月13日21時17分,  自宅にて。

2025/06/06

プラトー(2024年11月13日)

        

プラトーは月面で最もよく知られたクレーターの一つで、美しく、目につきやすいほか、かつて「つかの間の月の現象(Transient Lunar Phenomena, TLP)」と呼ばれる謎の発光現象が報告されたことがあります。TLPとは、月面の一部が突然明るく輝いたり、ガスや霧のようなものがかかってかすんで見える現象のことです。これらは、地球から望遠鏡で観測される際に報告されることがあり、特にプラトークレーターやアリスタルコスクレーターなどで頻繁に目撃されてきました。

プラトーの火口底は溶岩で満たされて平らになっていて大きなスケートリンクのようです。このリンクには小さな穴が4~5個ありますがわかりますか? また、プラトー東側の山塊には曲がりくねった渓谷(プラトー渓谷)が見えます。

 撮影条件:SW DOB16反射/SW EQ8R赤道儀/SWコマコレクター (F4-5用)/テレビューパワーメイト 5 x (合成f 9000mm F23) /バーダーIRパスフィルター695nm/ ZWO ASI 178MM CMOSカメラ 200フレーム/10秒。2024年11月13日21時11分,  自宅にて。

2025/06/04

虹の入り江と南北の岬(2024年11月13日)

 

「虹の入り江」は、雨の海からゆったりと波が押し寄せる港のように見えます。南側のヘラクレデス岬は高さが徐々に低くなって傾斜していますが、北側のラプラス岬は盛り上がった地形になっていることから、巨大な衝突クレーターの南東側が海からの溶岩に覆われて沈み込んだ地形であると推定されています。撮影条件:SW DOB16 ニュートン式反射/SW EQ8R赤道儀/SWコマコレクター (F4-5用)/テレビューパワーメイト 2.5x (合成f 4500mm F 11.25) (左) or 5x (合成f 9000mm F23)(右の上下) /バーダーIRパスフィルター695nm/ ZWO ASI 178MM CMOSカメラ 200フレーム/10秒。2024年11月13日21時56分(左)、21時08分(右上)、21時03分(右下) 自宅にて。