2026/08/19

盛夏の彩り(3)拡大したM16の”創造の柱”(7月16日)

                                                                       M16星雲の中心部には象の鼻のような形の暗黒星雲があり、"創造の柱"と呼ばれ、星の新生場所となっています。すでに2024年6月4日、スカイウオッチャー DOB16反射望遠鏡  (D400mm, FL1800mm)にキャノンEOS6Dカメラ/QBPフィルターを取り付けてISO12800, 露出20秒で撮影した画像を本ブログで掲載しています。今回の画像はSeestar S50(口径50㎜、焦点距離250mm) での撮影ですのでそのときのものより画質は劣りますが期待以上のものとなっています。撮影 :Seestar S50, 2026年7月16日 23:18, 露光56分、自宅にて


2026/08/18

盛夏の彩り(2)IC4701 ― M17の南西に広がる淡いガス雲(8月5日)

IC4701は、巨大な星形成領域 M17(オメガ星雲)の南西側に位置する淡い散光星雲です。距離はM17とほぼ同じ約5,000〜6,000光年とされ、M17が若い大質量星の強い紫外線によって明瞭なHII領域として輝くのに対し、IC4701は電離の度合いが低く表面輝度も淡いため、撮影難度が高い対象です。特に小口径機材では背景の星密度に埋もれやすく、形状を捉えるには長時間露光と安定した空の条件が不可欠になります。今回の画像では、M17の力強い発光領域とは対照的な IC4701の柔らかなガスの広がり、夏の天の川特有の 高い星密度、主星雲の外縁に広がる 星形成領域の“余韻”が、自然に浮かび上がり、IC4701の存在感が表現されていると思います。

撮影データ:Seestar S50 / 2026.08.05 21:32 / 64分露光 自宅にて。

盛夏の彩り(1)ー“異質なペア” 三裂星雲 M20と散開星団M21ー(8月5日)

                       
盛夏の天の川を彩る天体の中でも、M20(三裂星雲)M21(散開星団)の組み合わせは、同一視野で捉えるときわめて対照的で印象深いペアになります。発光星雲と若い星団という“異質な天体”がわずか数十光年の距離差で並んで見え、星雲の色彩と星団の清涼感が並び立ち、まさに盛夏の夜空の多様性を象徴しています

M20(三裂星雲) 約5,000光年先に位置する星形成領域で、赤いHαの発光部、青い反射星雲、そして三方向に伸びる暗黒帯が複雑に重なり合う、きわめて特徴的な構造を持っています。若い大質量星が周囲のガスを強烈に照らし、色彩豊かな“星雲の彫刻”を形づくっています。M21(散開星団)M20のすぐ北側に位置する若い星団で、年齢は約500万年とされ、星雲のようなガスをほとんど伴わない点が対照的です。青白い若い星々が集まり、星雲の濃淡とは異なる“点の美しさ”を見せてくれます。撮影データ:Seestar S50 / 2026.08.05 22:23 / 24分間露光 自宅にて。



 

2026/08/17

極大前夜のペルセウス座流星群(8月11夕-12日朝)

                                           

2026年のペルセウス座流星群は、月明かりの影響がほとんどない絶好の条件が期待されていました。しかし極大にあたる12日・13日は全国的に曇りや雨の予報。そこで今回は、比較的天候の安定した11日夜から12日明け方にかけて、固定カメラ2台で静かに空の変化を追うことにしました。極大前のため流星数は少なく、姿を見せたのは暗いものばかり。それでも、流れた方向と経路からペルセウス群と特定できた4個の流星を記録できました。

この流星群は、スイフト・タットル彗星が残した塵の流れを地球が横切ることで生まれ、秒速約 59 km という主要流星群の中でも屈指の高速で大気に突入します。そのため、暗い流星でも鋭い光跡を残しやすく、今回、その“ペルセウス群らしさ”が写し取れました。

撮影条件:No.1 タムロンズーム (28mmで使用)/キャノンEOS6D (ISO250, 露出30秒)2026年8月11日 22:21;No.2~4サムヤン (24mm, F4.0で使用)/ キャノンEOS6D (ISO250, 露出30秒) No.2 2026年8月12日 02:21; No.3 8月12日 02:05; No.4 8月11日 23:04. 写った流れ像が流星であるかどうかは、前後のコマに連続像がないことを確かめて判定した。

2026/08/08

初秋の宝石箱(5) 胎児星雲(IC1848) ― ハート星雲の相方として輝く星のゆりかごー

                  

 カシオペヤ座の一角に広がる胎児星雲(IC1848)は、ハート星雲(IC1805)と並んで「ダブルハート」と呼ばれる巨大星形成領域です。地球から約6,500光年、散開星団NGC 1893を中心に、若い星々が周囲の水素ガスを強く照らし、赤い輝き(Hα)が雲状に広がっています。内部では新しい星の誕生が進行しており、暗黒帯が複雑に入り組む姿は、胎児を包む羊水のように見えることからこの名がつきました。特に星団から吹き出す強い恒星風がガスを彫刻し、柱状構造(ピラー)空洞(キャビティ)を形成している点が見どころです。

初秋の夜空に浮かぶこの星雲は、ハート星雲と対を成すことで一層ドラマチックな姿を見せてくれます。季節の移ろいとともに、宇宙の「命のゆりかご」を楽しんでいただければ幸いです。

撮影データ:Seestar S50 / 2026.08.06 04:19 / 104分露光

2026/08/05

-初秋の宝石箱(4)ー 夜空に浮かぶ隣の大銀河 ― アンドロメダ銀河(M31)(7月27日)

 

     地球から約250万光年、肉眼でも見えるほど近い巨大渦巻銀河。中心核の強い輝きと広大な銀河円盤が特徴で、周囲には衛星銀河 M32(NGC221)M110(NGC205) が寄り添う。私たちの天の川銀河とは将来数十億年後に合体すると予測されており、宇宙進化の象徴的存在。Seestar S50 の 2×2 視野で、その堂々たる姿を鮮明に捉えた。撮影データ:Seestar S50 / 2026.07.26 05:16 / 87分露光

2026/08/03

-初秋の宝石箱(3)ハート星雲(IC1805)と魚頭星雲 ― 若い星々が刻む「宇宙の心臓」(7月26日)

 IC1805(ハート星雲) は、約6,500光年彼方に広がる巨大な星形成領域で、若い星団 Melotte 15 の強烈な光が赤い水素ガスを照らし出し、特徴的なハート形を形作っています。左側には 魚頭星雲(IC1795) が寄り添い、ガスの彫刻のような複雑な構造が見られます。すなわち、強烈な光と星風がガス雲を削り、吹き飛ばし、密度の違いが複雑な模様を作り出すことで、まるで彫刻作品のような立体的な形が生まれています。今回の 87分露光の一枚は、宇宙の「心臓部」で進む星の誕生ドラマを捉えています。撮影データ:Seestar S50 / 2026.07.26 05:16 / 87分露光

2026/07/29

初秋の宝石箱(2)-象の鼻星雲(IC1396)ー

                                                                   
IC1396星雲(象の鼻星雲)は、ケフェウス座に広がる巨大な散光星雲で、満月6個分の広がりを持つ領域です。中心には若い散開星団 Trumpler 37 があり、高温の大質量星が水素ガスを電離し赤く輝くHα領域を形成しています。象の鼻状の暗黒星雲は新しい星を育む「星形成領域」で、外側からの強烈な紫外線によって彫刻のように削られたガスと塵の柱です。特に先端部には原始星が多数確認されており、星が誕生する瞬間ということで科学的にも重要な対象です。複雑に入り組んだ暗黒帯、淡い輝きのHII領域、そして背景に散らばる無数の星々が重なり、IC1396は広視野撮影でこそ真価を発揮する「構造の美しさと科学的ドラマ」が共存する名星雲です。撮影データSeestar S50 / 岐阜市 / 2026.07.26 01:54 / 総露光114分

2026/07/27

初秋の宝石箱(1)-巨大な宇宙の泡 (NGC7635)ー

                   カシオペア座の泡星雲(NGC 7635)は、直径約7光年の巨大なガスの泡が宇宙空間に浮かぶ、印象的な散光星雲です。中心で強烈な恒星風を吹き出すO型星 BD+60°2522が周囲の水素ガスを押し広げ、まるで宇宙に石鹸泡が膨らんだような構造を形成しています。星雲の外縁が明るく輝くのは、衝撃波で圧縮されたガスが電離し、HαやOIIIの輝線を放つためです。距離は約7,100光年、星形成が盛んなカシオペア座の分子雲複合体の一部に位置し、恒星の進化と周囲の星間物質の相互作用を示す好例として研究対象にもなっています。撮影データSeestar S50 / 岐阜市 / 2026.07.25 05:32 / 総露光48分

2026/07/26

春の北天銀河(39)ー 北天の銀河 見かけは大きめでもつかみどころのない淡い銀河 NGC 4236 ー

                   
NGC4236は、おなじみM81銀河群の一員で、全長約2万光年以上に広がる棒渦巻銀河です。しかしその姿は非常に淡く、腕の構造もはっきりしないため、観察者泣かせの対象として知られています。星形成領域は散在的で、銀河全体の表面輝度が低いことが特徴です。 今回のSeestar S50による63分露光では、中心部のわずかな明るさと、周囲に広がる薄い星間物質の広がりが静かに浮かび上がりました。派手さはないものの、M81群の中で最も「控えめな銀河」ともいえる存在で、淡い光の中に銀河進化の多様性を感じさせてくれます。撮影データSeestar S50 / 岐阜市 / 2026.07.24 23:08 / 総露光63分