2026/10/10

深まる秋の星空模様(4)ー西に傾く北アメリカ星雲(NGC7000)-

はくちょう座に広がる北米星雲(NGC 7000)を、今回はほぼ全域が収まる構図で捉えました。同じSeestar S50による撮影でも、以前紹介したペリカン星雲とのツーショットとは雰囲気が大きく変わり、星雲の輪郭や暗黒帯の入り組んだ形がより際立って見えます。約2,000光年彼方に広がる巨大なHII領域で、若い星々の強い紫外線によって水素ガスが輝き、北米大陸のような特徴的な姿を形づくしています。今回の構図では、その“地形”のような広がりが一枚の中にすっきり収まり、星雲全体のダイナミックさがより伝わってきます。撮影データ:Seestar S50 / 2026.10.02. 05:43、57分露光、自宅にて


 

深まる秋の星空模様(3)ー近傍大銀河の静かな渦 ― M33(10月3日)

 さんかく座の M33銀河は、地球から約 300万光年の距離にあり、天の川銀河、アンドロメダ銀河とともに局所銀河群を構成する 渦巻銀河です。特徴は、中心核が小さく腕がゆるやかに広がる“フロキュラ構造(斑状構造)”が発達しています。腕の各所に星形成領域があり、今回の62分露光の画像でも、銀河全体に散らばる淡い輝きが捉えられています。また、ほぼ正面から渦巻構造を観察できるため、腕の模様や星形成領域の分布が分かりやすく、天体写真として“構造の美しさ”が際立つ対象です。Seestar S50のようなコンパクトな撮影システムでとらえられるダイナミックな姿には興味が尽きません。撮影データ:Seestar S50 / 2026.10.02. 22:41、62分露光、自宅にて

2026/10/09

深まる秋の星空模様(2)ー(Sh2-108 / はくちょう座サドル付近)ー(10月2日)

秋雨と台風で長く星空を待ち続けましたが、ようやく訪れた秋晴れの夜に、はくちょう座サドル付近の散光星雲 Sh2-108 を捉えました。サドル(γ Cygni)は強い紫外線を放つ若い大質量星で、その周囲には電離した水素ガスが広がり、赤い輝きとして写し出されます。今回の領域は特にHα成分が豊富で、暗黒帯が複雑に入り組むことで立体的な構造が際立ちます。

Sh2-108は大規模な「サドル雲(Sadr Region)」の一部で、星形成の痕跡やガス流の非対称性が議論される領域として近年の研究でも注目されています。Seestar S50による撮影ながら、淡い散光成分まで滑らかに描写され、秋の夜空に広がるはくちょう座の中心部のダイナミックな姿を楽しむことができました。

撮影データ:Seestar S50 / 2026.10.02. 00:49 / 83分露光、自宅にて

2026/10/05

深まる秋の星空模様(1)ーらせん星雲(NGC 7293)(10月1日)ー

                                                                                                                                                                 

らせん星雲(NGC 7293)を Seestar S50 で 97分露光にて撮影しました。地球から約 650 光年、みずがめ座に位置する代表的な惑星状星雲です。太陽レベルの恒星の終焉に形成された「死にゆく星の最後の姿」です。中心には白色矮星が残り、その強い紫外線が周囲のガスを電離させ、青緑の OIII(酸素)と赤い Hα(⽔素)の輝きが二重構造を形作っています。この星雲は、外層のリングが複雑なフィラメント構造を持ち、眼の虹彩のように見えるため「宇宙の眼」とも呼ばれることがあります。撮影データ:Seestar S50 / 2026.10.01. 21:56 / 97分露光 自宅にて。

2026/09/26

NGC 6960 ーはくちょう座・網状星雲 中央部~西側ー(9月25日)

                 

台風一過、雲の切れ間を約8時間の撮影体制に入り、実質のスタック時間は60分ほどでしたが、はくちょう座の「網状星雲(Veil Nebula)」中~西側の広い領域をSeestar S50の4枚モザイク撮影で捉えました。この星雲は約2万年前の超新星爆発の残骸の残骸で距離は 2,100〜2,400光年、みかけの大きさは 約3度(満月6個分)もあります。西側のアークは NGC 6960(Caldwell 34)、52 Cygni 星が 目印です。「魔女のほうきとも呼ばれ、酸素(OIII)や水素(Hα)が衝撃波で励起されて細かく裂けたフィラメント構造が浮かび上がります。撮影条件:Seestar S50 2026年9月25日00:18 露光時間52分 岐阜市内にて

活動期の静かな太陽面(9月25日)

 

初秋の太陽面には、小さな黒点がいくつか点在していました。 一見すると穏やかな姿ですが、最新の観測では太陽には8〜9の活動領域が存在し、Cクラスのフレアが続くなど、内部では活発な変化が進んでいます。 黒点が大きくなくても、太陽風は高速度流の影響下にあり、地球の磁場も静穏から活発へと揺れ動いています。 この写真は、太陽活動期の“静かな一日”を切り取った一枚であり、太陽が常に変化し続けていることを静かに物語っています。 撮影データ:Seestar S50 、2026年9月25日10時52分、岐阜市にて


2026/09/11

初秋の宝石箱(6)Sh2-158(NGC 7538)は,成長しつつあるケフェウス座の星形成領域(8月19日)

 

ケフェウス座とカシオペア座の境界付近に位置するSh2-158(NGC 7538)は、星形成が活発に進む明るい散光星雲です。地球からの距離は約9,100光年。星雲内部では若い大質量星が強い紫外線を放ち、周囲の水素ガスを電離させることで赤い輝きを生み出しています。

この領域が特に注目される理由は、巨大な原始星が誕生している現場を直接観測できる数少ない星雲のひとつである点です。NGC 7538内には、太陽の約300倍の質量を持つと推定される原始星(NGC 7538 IRS 1)が存在し、強烈なジェットやアウトフローを吹き出しながら成長している様子が電波観測で捉えられています。また、すぐ東側には泡星雲(NGC 7635)が位置し、両者は同じ巨大分子雲複合体の一部として互いに影響を及ぼしながら進化しています。今回の画像では、赤い電離水素の輝きと、背景に広がる暗黒星雲の入り組んだ模様がよく写り、NGC 7538のダイナミックな星形成環境が印象的に捉えられています。

撮影データ:Seestar S50 / 2026.08.20 23:33 / 60分露光 自宅にて。

2026/09/07

バイイとシラー・ズッキウスベイスン(2025年9月16日撮影)

 星ナビ2026年2月号に採択され掲載されていた、「バイイとシラー・ズッキウスベイスン」が、アストロアーツ社の2027年カレンダー、「星空こよみ2027」を飾る13作品の一つに選ばれました。4月号ページの上半分です。最近、月の写真が天文雑誌にあまり掲載されなくなったので、これは大変うれしいことです。
 画像および撮影データは、本ブログの2026年1月2日掲載分(古川天文趣味工房: バイイとシラー・ズッキウスベイスン (9月16日)(星ナビ2月号に入選))をご覧ください。

2026/08/19

盛夏の彩り(3)拡大したM16の”創造の柱”(7月16日)

                                                                       M16星雲の中心部には象の鼻のような形の暗黒星雲があり、"創造の柱"と呼ばれ、星の新生場所となっています。すでに2024年6月4日、スカイウオッチャー DOB16反射望遠鏡  (D400mm, FL1800mm)にキャノンEOS6Dカメラ/QBPフィルターを取り付けてISO12800, 露出20秒で撮影した画像を本ブログで掲載しています。今回の画像はSeestar S50(口径50㎜、焦点距離250mm) での撮影ですのでそのときのものより画質は劣りますが期待以上のものとなっています。撮影 :Seestar S50, 2026年7月16日 23:18, 露光56分、自宅にて


2026/08/18

盛夏の彩り(2)IC4701 ― M17の南西に広がる淡いガス雲(8月5日)

IC4701は、巨大な星形成領域 M17(オメガ星雲)の南西側に位置する淡い散光星雲です。距離はM17とほぼ同じ約5,000〜6,000光年とされ、M17が若い大質量星の強い紫外線によって明瞭なHII領域として輝くのに対し、IC4701は電離の度合いが低く表面輝度も淡いため、撮影難度が高い対象です。特に小口径機材では背景の星密度に埋もれやすく、形状を捉えるには長時間露光と安定した空の条件が不可欠になります。今回の画像では、M17の力強い発光領域とは対照的な IC4701の柔らかなガスの広がり、夏の天の川特有の 高い星密度、主星雲の外縁に広がる 星形成領域の“余韻”が、自然に浮かび上がり、IC4701の存在感が表現されていると思います。

撮影データ:Seestar S50 / 2026.08.05 21:32 / 64分露光 自宅にて。

盛夏の彩り(1)ー“異質なペア” 三裂星雲 M20と散開星団M21ー(8月5日)

                       
盛夏の天の川を彩る天体の中でも、M20(三裂星雲)とM21(散開星団)の組み合わせは、同一視野で捉えるときわめて対照的で印象深いペアになります。発光星雲と若い星団という“異質な天体”がわずか数十光年の距離差で並んで見え、星雲の色彩と星団の清涼感が並び立ち、まさに盛夏の夜空の多様性を象徴しています。

M20(三裂星雲): 約5,000光年先に位置する星形成領域で、赤いHαの発光部、青い反射星雲、そして三方向に伸びる暗黒帯が複雑に重なり合う、きわめて特徴的な構造を持っています。若い大質量星が周囲のガスを強烈に照らし、色彩豊かな“星雲の彫刻”を形づくっています。M21(散開星団):M20のすぐ北側に位置する若い星団で、年齢は約500万年とされ、星雲のようなガスをほとんど伴わない点が対照的です。青白い若い星々が集まり、星雲の濃淡とは異なる“点の美しさ”を見せてくれます。撮影データ:Seestar S50 / 2026.08.05 22:23 / 24分間露光 自宅にて。



 

2026/08/17

極大前夜のペルセウス座流星群(8月11夕-12日朝)

                                           

2026年のペルセウス座流星群は、月明かりの影響がほとんどない絶好の条件が期待されていました。しかし極大にあたる12日・13日は全国的に曇りや雨の予報。そこで今回は、比較的天候の安定した11日夜から12日明け方にかけて、固定カメラ2台で静かに空の変化を追うことにしました。極大前のため流星数は少なく、姿を見せたのは暗いものばかり。それでも、流れた方向と経路からペルセウス群と特定できた4個の流星を記録できました。

この流星群は、スイフト・タットル彗星が残した塵の流れを地球が横切ることで生まれ、秒速約 59 km という主要流星群の中でも屈指の高速で大気に突入します。そのため、暗い流星でも鋭い光跡を残しやすく、今回、その“ペルセウス群らしさ”が写し取れました。

撮影条件:No.1 タムロンズーム (28mmで使用)/キャノンEOS6D (ISO250, 露出30秒)2026年8月11日 22:21;No.2~4サムヤン (24mm, F4.0で使用)/ キャノンEOS6D (ISO250, 露出30秒) No.2 2026年8月12日 02:21; No.3 8月12日 02:05; No.4 8月11日 23:04. 写った流れ像が流星であるかどうかは、前後のコマに連続像がないことを確かめて判定した。

2026/08/08

初秋の宝石箱(5) 胎児星雲(IC1848) ― ハート星雲の相方として輝く星のゆりかごー

                  

 カシオペヤ座の一角に広がる胎児星雲(IC1848)は、ハート星雲(IC1805)と並んで「ダブルハート」と呼ばれる巨大星形成領域です。地球から約6,500光年、散開星団NGC 1893を中心に、若い星々が周囲の水素ガスを強く照らし、赤い輝き(Hα)が雲状に広がっています。内部では新しい星の誕生が進行しており、暗黒帯が複雑に入り組む姿は、胎児を包む羊水のように見えることからこの名がつきました。特に星団から吹き出す強い恒星風がガスを彫刻し、柱状構造(ピラー)や空洞(キャビティ)を形成している点が見どころです。

初秋の夜空に浮かぶこの星雲は、ハート星雲と対を成すことで一層ドラマチックな姿を見せてくれます。季節の移ろいとともに、宇宙の「命のゆりかご」を楽しんでいただければ幸いです。

撮影データ:Seestar S50 / 2026.08.06 04:19 / 104分露光

2026/08/05

-初秋の宝石箱(4)ー 夜空に浮かぶ隣の大銀河 ― アンドロメダ銀河(M31)(7月27日)

 

     地球から約250万光年、肉眼でも見えるほど近い巨大渦巻銀河。中心核の強い輝きと広大な銀河円盤が特徴で、周囲には衛星銀河 M32(NGC221) と M110(NGC205) が寄り添う。私たちの天の川銀河とは将来数十億年後に合体すると予測されており、宇宙進化の象徴的存在。Seestar S50 の 2×2 視野で、その堂々たる姿を鮮明に捉えた。撮影データ:Seestar S50 / 2026.07.26 05:16 / 87分露光

2026/08/03

-初秋の宝石箱(3)ハート星雲(IC1805)と魚頭星雲 ― 若い星々が刻む「宇宙の心臓」(7月26日)

 IC1805(ハート星雲) は、約6,500光年彼方に広がる巨大な星形成領域で、若い星団 Melotte 15 の強烈な光が赤い水素ガスを照らし出し、特徴的なハート形を形作っています。左側には 魚頭星雲(IC1795) が寄り添い、ガスの彫刻のような複雑な構造が見られます。すなわち、強烈な光と星風がガス雲を削り、吹き飛ばし、密度の違いが複雑な模様を作り出すことで、まるで彫刻作品のような立体的な形が生まれています。今回の 87分露光の一枚は、宇宙の「心臓部」で進む星の誕生ドラマを捉えています。撮影データ:Seestar S50 / 2026.07.26 05:16 / 87分露光

2026/07/29

初秋の宝石箱(2)-象の鼻星雲(IC1396)ー

                                                                   
IC1396星雲(象の鼻星雲)は、ケフェウス座に広がる巨大な散光星雲で、満月6個分の広がりを持つ領域です。中心には若い散開星団 Trumpler 37 があり、高温の大質量星が水素ガスを電離し赤く輝くHα領域を形成しています。象の鼻状の暗黒星雲は新しい星を育む「星形成領域」で、外側からの強烈な紫外線によって彫刻のように削られたガスと塵の柱です。特に先端部には原始星が多数確認されており、星が誕生する瞬間ということで科学的にも重要な対象です。複雑に入り組んだ暗黒帯、淡い輝きのHII領域、そして背景に散らばる無数の星々が重なり、IC1396は広視野撮影でこそ真価を発揮する「構造の美しさと科学的ドラマ」が共存する名星雲です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.07.26 01:54 / 総露光114分

2026/07/27

初秋の宝石箱(1)-巨大な宇宙の泡 (NGC7635)ー

                   カシオペア座の泡星雲(NGC 7635)は、直径約7光年の巨大なガスの泡が宇宙空間に浮かぶ、印象的な散光星雲です。中心で強烈な恒星風を吹き出すO型星 BD+60°2522が周囲の水素ガスを押し広げ、まるで宇宙に石鹸泡が膨らんだような構造を形成しています。星雲の外縁が明るく輝くのは、衝撃波で圧縮されたガスが電離し、HαやOIIIの輝線を放つためです。距離は約7,100光年、星形成が盛んなカシオペア座の分子雲複合体の一部に位置し、恒星の進化と周囲の星間物質の相互作用を示す好例として研究対象にもなっています。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.07.25 05:32 / 総露光48分

2026/07/26

春の北天銀河(39)ー 北天の銀河 見かけは大きめでもつかみどころのない淡い銀河 NGC 4236 ー

                   
NGC4236は、おなじみM81銀河群の一員で、全長約2万光年以上に広がる棒渦巻銀河です。しかしその姿は非常に淡く、腕の構造もはっきりしないため、観察者泣かせの対象として知られています。星形成領域は散在的で、銀河全体の表面輝度が低いことが特徴です。 今回のSeestar S50による63分露光では、中心部のわずかな明るさと、周囲に広がる薄い星間物質の広がりが静かに浮かび上がりました。派手さはないものの、M81群の中で最も「控えめな銀河」ともいえる存在で、淡い光の中に銀河進化の多様性を感じさせてくれます。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.07.24 23:08 / 総露光63分

2026/07/20

春の北天銀河(38)ー 北天の棒渦巻銀河 NGC 7479(C44)ー

                                                                                           
     Seestar S50で40分露光して捉えたのは、ペガサス座の棒渦巻銀河 NGC 7479(C44)。その独特の形状から「プロペラ銀河」とも呼ばれています。地球から約 1.3億光年 の距離にあり、中心部には強い電波を放つ活動銀河核(AGN)が存在します。銀河のバー構造は片側が長く伸び、もう片側が巻き込むように湾曲しており、これは過去の銀河同士の相互作用が原因と考えられています。 今回の撮影では、淡い腕の広がりと周囲の星野がよく写りプロペラ状の非対称構造確認できます。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.06.13 03:58 / 総露光40分

2026/07/16

春の北天銀河(14再撮影)ー色彩豊かな中心部と淡い周辺部から成るM106銀河ー(6月1日)

        

りょうけん座の渦巻銀河 M106(NGC 4258) を Seestar S50 で撮影しました。地球から約 2,300 万光年の距離にあり、中心部には強い電波を放つ 活動銀河核(AGN) が存在します。そのため核周辺は色彩豊かで明るく輝き、独特の「異常腕(anomalous arms)」と呼ばれる構造が見られることでも知られています。一方で、銀河外縁の淡い腕は非常に光度が低く、長時間露光を重ねても浮かび上がらせるのが難しい領域です。今回の撮影でも、中心部の力強い輝きと対照的に、周辺部は繊細な階調が求められる挑戦的な対象でした。5月4日に掲載した画像(3月15日撮影)の方が外周の写りはよいようです。見比べてみてください。なお、南側に見えているNGC 4248 は、りょうけん座に位置する小型の不規則銀河で、視野上は 近いですが、最新の距離測定では M106 とは別の距離にある銀河とされています。

撮影データ:M106 / 149min / Seestar S50 / 2026.06.01 01:42