【撮影日時、撮影機材、撮影法】は前項(冬の月面拡大(1))に同じ。 2025年12月28日18時28分32秒-52秒で動画撮影(100フレーム/20秒)。処理後の静止画像を拡大トリミング。 自宅にて
2026/01/29
冬の月面拡大 (6) ─ 時の記憶を刻む月の瞳 マウロリクス:40cm鏡が捉えた微細構造(2025年12月28日)
冬の月面拡大 (5) ─シュテフェラーの精密拡大:40cm鏡が捉えた微細構造(2025年12月28日)
この日のシーイングは極めて良好で、シュテフェラー(Stöfler)の画像は非常に高い解像度を示しています。QuickMapの衛星画像と比較しても陰影の立体感や微細な地形の描写がより自然に感じられます。
精細さが描き出す月面の真実
- 中央丘の構造:中央丘は、複数の小丘が連なった複雑な形状を示しており、単一の反発隆起ではなく、複数回の地殻変動や後続衝突の影響を受けた可能性を示唆します。
- 周壁の段丘と崩落痕:周壁は、南西側に顕著な段丘構造が見られます。一方、北東側では崩落による滑らかな傾斜が広がり、地質的な非対称性が認められます。
- 内部の微小クレーター群:直径1〜3km程度の微小クレーターが内部に多数認められます。これらは後期の小天体衝突によるもので、シュテフェラーの長い地質史を物語っています。
観測者の視点から:このような高精細画像は、単なる地形記録を超えて、月面の形成過程や地質進化を読み解く手がかりとなります。特に中央丘の複雑性や周壁の非対称性は、従来の「典型的複合クレーター像」とは一線を画し、個別の地質履歴を持つことを示しています。
【撮影日時、撮影機材、撮影法】は前項(冬の月面拡大(1))に同じ。 2025年12月28日18時28分32秒-52秒で動画撮影(100フレーム/20秒)。処理後の静止画像を拡大トリミング。 自宅にて
冬の月面拡大 (4) ─並び立つ古豪:マウロリクスとシュテフェラー(2025年12月28日)
月面南部の高地地帯に位置するマウロリクス(Maurolycus)とシュテフェラー(Stöfler)は、いずれも直径約100kmの大型衝突クレーターであり、月の形成史を物語る重要な存在です。また両者は隣接して並び、望遠鏡でも同一視野に収めて比較しやすい点も好都合です。
古代の衝突痕:どちらもインブリウム期に形成された非常に古いクレーターで、周囲の地形との重なりが多く、後続の衝突による変形が見られます。
内部構造の保存度:マウロリクスは内部に複数の小クレーターが重なり、段丘構造が明瞭。中央丘も比較的高く、原形を保っています。シュテフェラーは中央丘がやや低く、内部は滑らかで、後の堆積や崩壊が進んでいる可能性があります。
周壁の形状:マウロリクスは周壁が鋭く、段丘が複数層に分かれていますが、シュテフェラーの周壁はなだらかで一部崩落しているように見えます。
衛星クレーターの分布:シュテフェラーの周囲にはStöfler A〜Fなどの衛星クレーターが多く、命名も進んでいますが、マウロリクス周辺は衛星クレーターの命名が少ないようです。
【撮影日時、撮影機材、撮影法】は前項(冬の月面拡大(1))に同じ。 2025年12月28日18時26分25秒-45秒で動画撮影(100フレーム/20秒)。処理後の静止画像を拡大トリミング。 自宅にて
【撮影日時、撮影機材、撮影法】は前項(冬の月面拡大(1))に同じ。 2025年12月28日18時28分32秒-52秒で動画撮影(100フレーム/20秒)。処理後の静止画像を拡大トリミング。 自宅にて
2026/01/28
冬の月面拡大 (3) ー月面に潜む「昆虫たち」──リケトス、ヘラクレイトウス、キュヴィエの奇妙な競演(2025年12月28日)
リケトス:殻を閉じたてんとう虫のような静寂
- 直径:約75km
- 特徴:周壁が比較的保存されており、内部は滑らかで中央丘は不明瞭。まるで殻を閉じてじっと息を潜めるてんとう虫のよう。
- 地質的視点:衝突後の地形変化が少なく、古いクレーターである可能性が高い。周囲の小クレーター群がその年代を物語っています。
ヘラクレイトウス:複雑な構造を持つ「節足昆虫型」
- 直径:約90km
- 特徴:内部に複数の小丘や断層が見られ、周壁も部分的に崩れています。まるで関節を持つ昆虫のような複雑な構造。
- 地質的視点:複数の衝突や地殻変動の影響を受けた痕跡があり、月面の形成史を語る「多層的な記録媒体」として興味深いところです。
キュヴィエ:滑らかな背面を持つ「甲虫型」
- 直径:約50km
- 特徴:比較的小型で、内部は滑らか。周壁はやや摩耗していますが、全体として整った楕円形。羽を閉じた甲虫の背面のような印象。
- 地質的視点:比較的新しいクレーターとされ、衝突エネルギーが低かった可能性もあります。
観測者の視点:月面に浮かぶ「生命の幻影」
この三つのクレーターは、科学的にはただの衝突痕にすぎません。しかし、望遠鏡を通して見ると、そこには生命のような形態的連想が生まれます。てんとう虫、節足昆虫、甲虫──それぞれが異なる「姿勢」で月面に佇み、観測者に語りかけてきます。
月には大気も水もありません。浸食も風化もほとんど起こりません。だからこそ、こうした形状は数十億年の時を超えて残されています。それはまるで、月が自らの記憶を「昆虫の姿」で保存しているかのようです。
【撮影日時、撮影機材、撮影法】は前項(冬の月面拡大(1))に同じ。 2025年12月28日18時26分25秒-45秒で動画撮影(100フレーム/20秒)。処理後の静止画像を拡大トリミング。 自宅にて
冬の月面拡大 (2) ー月面南部、静かなる競演──リリウスとジャコビ(2025年12月28日)
リリウスは、整った円形と明瞭な中央丘を持つ、典型的な複雑クレーター。直径約62km、周壁は比較的保存状態が良く、太陽光の角度によって陰影がくっきりと浮かび上がります。まるで「これが理想のクレーターだ」と言わんばかりの端正な姿。観測者の目には、月面の古典美を体現する存在として映ります。
一方のジャコビは、リリウスの南東に寄り添うように位置し、やや崩れた周壁と複雑な内部構造を持っています。直径は約68kmと少し大きく、内部には小丘や断層のような地形が見られます。形は不均一で、どこか荒々しく、しかしその不完全さが逆に魅力となっています。まるで「私は私のままでいい」と語りかけてくるような、月面の個性派です。
この二つのクレーターは、科学的にも興味深く、リリウスは衝突後の反発によって形成された中央丘を持ち、周囲の小クレーター群からは古い地形であることがうかがえます。ジャコビは後続の衝突や地殻変動の影響を受けた痕跡があり、月面の地質史を物語る複雑な構造を見せてくれます。
そして何より、望遠鏡をのぞくたびにこの二つが目に留まるのは、配置の妙にあると言えるかもしれません。並び立つことで互いの個性が際立ち、観測者の心に残る印象を刻みます。月面を旅する視線の中で、彼らはいつも「ここにいるぞ」と静かに語りかけてきます。
月の南部──そこには、ただの地形ではない、物語を持った地形があり、リリウスとジャコビは、その語り部となることでしょう。
【撮影日時、撮影機材、撮影法】は前項(冬の月面拡大(1))に同じ。 2025年12月28日18時26分25秒-45秒で動画撮影(100フレーム/20秒)。処理後の静止画像を拡大トリミング。 自宅にて
冬の月面拡大 (1) ー南部の中型クレーター群:個性が際立つ密集地帯(2025年12月28日)
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2025年も押し迫った 12月28日夜は冬には珍しくシーイング良好でした。そこで普段はあまり注目されない月面南部のリリウス、ジャコビとリケトス、ヘラクレトス、キュヴィエなどの中型クレーターをじっくり観察しようと拡大撮影を試みました。このエリアでは直径50〜100kmの多数の中型クレーターが互いに複雑に入り組み、それぞれのクレーターが異なる生成年代、衝突角度や地質構造を反映し、個性的でユニークな構造を形成しており、月面の衝突履歴や月内部構造の推定に寄与しています。
【撮影機材、撮影法】スカイウオッチャーDOB16 (D400mm FL1800mm F4.5) + 手レビューパワーメイト2.5 x (合成4900mm F11.3) ZWO ASI178MM、 バーダー IRパス (650mm以上) フィルター、 スカイウオッチャーEQ8赤道儀、 2025年12月28日18時26分25秒-45秒で動画撮影(100フレーム/20秒)。 自宅にて
2026/01/26
ふたご座に浮かぶ猿の横顔 ― モンキーフェイス星雲(NGC 2175)(by Seestar S50)(1月17日)
NGC 2175(モンキーフェイス星雲) は、ふたご座とオリオン座の境界付近に広がるHII領域で、赤く輝く散光星雲とその中心にある散開星団が特徴です。星雲全体の形が猿の横顔に似ていることから「モンキーフェイス星雲」と呼ばれています。この星雲は約6,000光年以上の彼方にあり、若い星々が活発に形成されている領域です。星の誕生によって放たれる強い紫外線が周囲の水素ガスを電離させ、Hαの赤い輝きを生み出しています。中心部の散開星団 NGC 2175 はこの領域の主要な光源であり、星雲の形状にも影響を与えています。
比較的広がりがあるので全体像を捉えるには短焦点鏡筒が必要ですがHα成分が強いため短時間露光でもよく写るのが特徴です。冬の天の川付近にあるため星の密度が高く星雲と星野の対比も美しく写ります。
撮影条件(by Seestar S50): 2026年1月17日 23時19分、露出11分間(スタック処理あり)、自宅にて (岐阜市)
冬の夜空に舞う赤い鳥――かもめ星雲(IC2177)と若く高温な恒星(HD 53367)(1月18日)
かもめ星雲(IC2177)は、いっかくじゅう座とおおいぬ座の境界に広がる壮大な散光星雲で、星形成が活発なHII領域です。かもめ星雲の頭部(IC2177、Sh2-292またはNGC2327)をSeestar S50で撮影。頭部の中央に輝く星は若く高温な恒星「HD 53367」で、この星が放つ強い紫外線が周囲の水素ガスを電離させ星雲を赤く染めています。星雲の頭部は反射星雲とHII領域が混在する複雑な構造を持ち、星形成の現場としても注目されています。
撮影条件(by Seestar S50): 2026年1月18日 00時53分、露出6分間(スタック処理あり)、自宅にて(岐阜市)
クラゲ星雲(IC443)— 超新星の記憶をたどる赤いクラゲ(1月17日)
今回、Seestar S50で撮影したこの星雲は、淡く広がる赤色のフィラメントが繊細に描写され、宇宙を漂うクラゲのような姿を見せてくれました。特に星雲の東側(上方)の半月状ループ構造は爆発の衝撃波が周囲のガスと衝突して形成されたもので、立体的な広がりを感じさせます。星雲内には爆発後に誕生した中性子星「J0617+2221」がありX線や電波で観測されています。周囲には星形成領域「Sh2-249」も広がっており、星の死と誕生が隣り合う宇宙の営みを感じさせます。
長時間露光(1月17日23時48分から30分間)とスタック処理(10秒間の画像180枚)により、ノイズを抑えつつ赤色の輝きを自然に再現できたのは、Seestar S50の高性能と冬の澄んだ空のおかげです。画像右下の明るい星はふたご座の赤色巨星「テジャト(μ Geminorum)」です。クラゲ星雲のすぐそばに位置し撮影の目印としても知られています。
2026/01/24
月の暗部からレグルス出現(1月7日)
2026/01/23
冬の雪国での天体撮影(1月17日)
2026/01/07
レグルス食(1月7日)


2026/01/02
バイイとシラー・ズッキウスベイスン (9月16日)(星ナビ2月号に入選)
本作品は、「この秋の月面ハイライト1」として12月3日付でこのブログでも公表していますが、この度、1月5日発売の星ナビ5月号に採択され掲載されました。
【作者のコメント】バイイとシラー・ズッキウスベイスン といった月面を代表する大型クレーターを並置してみました。バイイの奥にははハウゼンクレーターの周壁や中央丘が見えます。
【星ナビのコメント】まるで、月をぐるっと回り込む周回軌道の宇宙船から見ているようです。月の縁が単純な円弧ではなく、凹凸のあるのがよくわかります。最大クレーターのバイイは、直径300km 以上あります。
2026/01/01
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スカイウオッチャーの40cmドブソニアンが12月10日に到着しました。 月や木星を見たところ、20 cmシュミカセでは見えない細部が見えます。 買ったばかりでまだ直接焦点撮影しかできませんがとりあえず撮影してみました。 撮影日時:2011年12月30日21時24分 撮影場所:岐...
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かたつむり星雲と隣り合わせにNGC2264があり、コーン(円錐)星雲、クリスマスツリー星団およびキツネの毛皮星雲から成っています。複数のコンポーネントをあわせて一つのNGC番号としている点は異例です。コーン星雲は、冷えた水素による暗黒星雲で円錐形なのでこの名があります。クリス...
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今使っているスカイウオッチャーのDOB GOTO16は口径40 cm、F4.5と明るい鏡なので、星雲星団の眼視観測や短時間の撮像などには都合がよいのですが、それでも焦点距離は180 cmもあり、像が大きすぎて見にくい天体がたくさんあります。ちなみに満月の全体が入りません。レデ...
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リッチークレチアン( Ritchey-Chretien : RC) 反射望遠鏡でディープスカイを撮影。今回は秋の代表的な星雲を3つ掲載します。 台湾 Microtech 社 RC6 (口径 6 インチ: 153mm 、f =1377mm, F9 ) 鏡筒を0 ....
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英国オライオン社の30cm反射望遠鏡が6月に届きました。この望遠鏡は鏡面精度(1/12λ)に定評があり、惑星や月の拡大像に威力を発揮するものと期待しています。接眼部はクレイフォードの電動フォーカサー仕様(オプション)としたので微妙なピント合わせも容易です。また主鏡セル...
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簡易型ドームが完成しました。望遠鏡と同じカナダ製のpersonal observatory dome (POD)です。組み立ててみると思っていたよりも大きい印象ですが、40 ...
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日間賀島(ひまかじま)は知多半島の先端から南にわずか2kmの海に浮かぶ周囲5.5kmの小島です。タコとフグの島として親しまれています。12月8、9日、妻と二人で一泊旅行に出かけました。天気はよくないとの予報でしたが、8日夕方から見事に晴れ上がり、美しい夕日を望むことができました。...
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