今回撮影したのは、しし座の東側に広がる「おとめ座銀河団」の一角です。 この領域は、春の夜空でもっとも銀河が密集するエリアのひとつで、視野の中に複数の系外銀河が同時に写り込むことで知られています。Seestar S50 の小さな視野でも、M89・M90 を中心に多くの銀河が同視野に収まり、観察・撮影ともに非常に面白い対象です。主役となる M89(NGC 4552) と M90(NGC 4569) に加えて、NGC 4584、NGC 4531、IC 3475、NGC 4550 など、焦点距離 250㎜ とは思えないほど多くの銀河が確認できます。すべておとめ座銀河団に属するメンバーで地球から約 5000〜6000 万光年の距離に位置しています。M89 は球状に近い楕円銀河で、外側に淡いハロー構造を持つことが知られています。 一方、M90 は渦巻銀河でありながら銀河団内のガス環境の影響で星形成が抑制されている可能性が指摘される、科学的にも興味深い天体です。
今回の撮影では、122〜132 分の長時間スタックにより、肉眼では到底見えない淡い銀河まで浮かび上がりました。自宅の庭という光害環境にもかかわらず、Seestar S50 と適切な処理によって、銀河団の奥行きと広がりを感じさせる写りになっています。画面内に写り込んだ銀河の名称を正確に示すため、Seestar の画面表示を並置しました。春の銀河祭りと呼ばれる季節の醍醐味が、小さなスマート望遠鏡でもしっかり味わえることが分かります。














