2026/09/11

初秋の宝石箱(6)Sh2-158(NGC 7538)は,成長しつつあるケフェウス座の星形成領域(8月19日)

 

ケフェウス座とカシオペア座の境界付近に位置するSh2-158(NGC 7538)は、星形成が活発に進む明るい散光星雲です。地球からの距離は約9,100光年。星雲内部では若い大質量星が強い紫外線を放ち、周囲の水素ガスを電離させることで赤い輝きを生み出しています。

この領域が特に注目される理由は、巨大な原始星が誕生している現場を直接観測できる数少ない星雲のひとつである点です。NGC 7538内には、太陽の約300倍の質量を持つと推定される原始星(NGC 7538 IRS 1)が存在し、強烈なジェットやアウトフローを吹き出しながら成長している様子が電波観測で捉えられています。また、すぐ東側には泡星雲(NGC 7635)が位置し、両者は同じ巨大分子雲複合体の一部として互いに影響を及ぼしながら進化しています。今回の画像では、赤い電離水素の輝きと、背景に広がる暗黒星雲の入り組んだ模様がよく写り、NGC 7538のダイナミックな星形成環境が印象的に捉えられています。

撮影データ:Seestar S50 / 2026.08.20 23:33 / 60分露光 自宅にて。

2026/09/07

バイイとシラー・ズッキウスベイスン(2025年9月16日撮影)

 星ナビ2026年2月号に採択され掲載されていた、「バイイとシラー・ズッキウスベイスンが、アストロアーツ社の2027年カレンダー、「星空こよみ2027」を飾る13作品の一つに選ばれました。4月号ページの上半分です。最近、月の写真が天文雑誌にあまり掲載されなくなったので、これは大変うれしいことです。

 画像および撮影データは、本ブログの2026年1月2日掲載分(古川天文趣味工房: バイイとシラー・ズッキウスベイスン (9月16日)(星ナビ2月号に入選))をご覧ください。

2026/08/19

盛夏の彩り(3)拡大したM16の”創造の柱”(7月16日)

                                                                       M16星雲の中心部には象の鼻のような形の暗黒星雲があり、"創造の柱"と呼ばれ、星の新生場所となっています。すでに2024年6月4日、スカイウオッチャー DOB16反射望遠鏡  (D400mm, FL1800mm)にキャノンEOS6Dカメラ/QBPフィルターを取り付けてISO12800, 露出20秒で撮影した画像を本ブログで掲載しています。今回の画像はSeestar S50(口径50㎜、焦点距離250mm) での撮影ですのでそのときのものより画質は劣りますが期待以上のものとなっています。撮影 :Seestar S50, 2026年7月16日 23:18, 露光56分、自宅にて


2026/08/18

盛夏の彩り(2)IC4701 ― M17の南西に広がる淡いガス雲(8月5日)

IC4701は、巨大な星形成領域 M17(オメガ星雲)の南西側に位置する淡い散光星雲です。距離はM17とほぼ同じ約5,000〜6,000光年とされ、M17が若い大質量星の強い紫外線によって明瞭なHII領域として輝くのに対し、IC4701は電離の度合いが低く表面輝度も淡いため、撮影難度が高い対象です。特に小口径機材では背景の星密度に埋もれやすく、形状を捉えるには長時間露光と安定した空の条件が不可欠になります。今回の画像では、M17の力強い発光領域とは対照的な IC4701の柔らかなガスの広がり、夏の天の川特有の 高い星密度、主星雲の外縁に広がる 星形成領域の“余韻”が、自然に浮かび上がり、IC4701の存在感が表現されていると思います。

撮影データ:Seestar S50 / 2026.08.05 21:32 / 64分露光 自宅にて。

盛夏の彩り(1)ー“異質なペア” 三裂星雲 M20と散開星団M21ー(8月5日)

                       
盛夏の天の川を彩る天体の中でも、M20(三裂星雲)とM21(散開星団)の組み合わせは、同一視野で捉えるときわめて対照的で印象深いペアになります。発光星雲と若い星団という“異質な天体”がわずか数十光年の距離差で並んで見え、星雲の色彩と星団の清涼感が並び立ち、まさに盛夏の夜空の多様性を象徴しています。

M20(三裂星雲): 約5,000光年先に位置する星形成領域で、赤いHαの発光部、青い反射星雲、そして三方向に伸びる暗黒帯が複雑に重なり合う、きわめて特徴的な構造を持っています。若い大質量星が周囲のガスを強烈に照らし、色彩豊かな“星雲の彫刻”を形づくっています。M21(散開星団):M20のすぐ北側に位置する若い星団で、年齢は約500万年とされ、星雲のようなガスをほとんど伴わない点が対照的です。青白い若い星々が集まり、星雲の濃淡とは異なる“点の美しさ”を見せてくれます。撮影データ:Seestar S50 / 2026.08.05 22:23 / 24分間露光 自宅にて。



 

2026/08/17

極大前夜のペルセウス座流星群(8月11夕-12日朝)

                                           

2026年のペルセウス座流星群は、月明かりの影響がほとんどない絶好の条件が期待されていました。しかし極大にあたる12日・13日は全国的に曇りや雨の予報。そこで今回は、比較的天候の安定した11日夜から12日明け方にかけて、固定カメラ2台で静かに空の変化を追うことにしました。極大前のため流星数は少なく、姿を見せたのは暗いものばかり。それでも、流れた方向と経路からペルセウス群と特定できた4個の流星を記録できました。

この流星群は、スイフト・タットル彗星が残した塵の流れを地球が横切ることで生まれ、秒速約 59 km という主要流星群の中でも屈指の高速で大気に突入します。そのため、暗い流星でも鋭い光跡を残しやすく、今回、その“ペルセウス群らしさ”が写し取れました。

撮影条件:No.1 タムロンズーム (28mmで使用)/キャノンEOS6D (ISO250, 露出30秒)2026年8月11日 22:21;No.2~4サムヤン (24mm, F4.0で使用)/ キャノンEOS6D (ISO250, 露出30秒) No.2 2026年8月12日 02:21; No.3 8月12日 02:05; No.4 8月11日 23:04. 写った流れ像が流星であるかどうかは、前後のコマに連続像がないことを確かめて判定した。

2026/08/08

初秋の宝石箱(5) 胎児星雲(IC1848) ― ハート星雲の相方として輝く星のゆりかごー

                  

 カシオペヤ座の一角に広がる胎児星雲(IC1848)は、ハート星雲(IC1805)と並んで「ダブルハート」と呼ばれる巨大星形成領域です。地球から約6,500光年、散開星団NGC 1893を中心に、若い星々が周囲の水素ガスを強く照らし、赤い輝き(Hα)が雲状に広がっています。内部では新しい星の誕生が進行しており、暗黒帯が複雑に入り組む姿は、胎児を包む羊水のように見えることからこの名がつきました。特に星団から吹き出す強い恒星風がガスを彫刻し、柱状構造(ピラー)や空洞(キャビティ)を形成している点が見どころです。

初秋の夜空に浮かぶこの星雲は、ハート星雲と対を成すことで一層ドラマチックな姿を見せてくれます。季節の移ろいとともに、宇宙の「命のゆりかご」を楽しんでいただければ幸いです。

撮影データ:Seestar S50 / 2026.08.06 04:19 / 104分露光

2026/08/05

-初秋の宝石箱(4)ー 夜空に浮かぶ隣の大銀河 ― アンドロメダ銀河(M31)(7月27日)

 

     地球から約250万光年、肉眼でも見えるほど近い巨大渦巻銀河。中心核の強い輝きと広大な銀河円盤が特徴で、周囲には衛星銀河 M32(NGC221) と M110(NGC205) が寄り添う。私たちの天の川銀河とは将来数十億年後に合体すると予測されており、宇宙進化の象徴的存在。Seestar S50 の 2×2 視野で、その堂々たる姿を鮮明に捉えた。撮影データ:Seestar S50 / 2026.07.26 05:16 / 87分露光

2026/08/03

-初秋の宝石箱(3)ハート星雲(IC1805)と魚頭星雲 ― 若い星々が刻む「宇宙の心臓」(7月26日)

 IC1805(ハート星雲) は、約6,500光年彼方に広がる巨大な星形成領域で、若い星団 Melotte 15 の強烈な光が赤い水素ガスを照らし出し、特徴的なハート形を形作っています。左側には 魚頭星雲(IC1795) が寄り添い、ガスの彫刻のような複雑な構造が見られます。すなわち、強烈な光と星風がガス雲を削り、吹き飛ばし、密度の違いが複雑な模様を作り出すことで、まるで彫刻作品のような立体的な形が生まれています。今回の 87分露光の一枚は、宇宙の「心臓部」で進む星の誕生ドラマを捉えています。撮影データ:Seestar S50 / 2026.07.26 05:16 / 87分露光

2026/07/29

初秋の宝石箱(2)-象の鼻星雲(IC1396)ー

                                                                   
IC1396星雲(象の鼻星雲)は、ケフェウス座に広がる巨大な散光星雲で、満月6個分の広がりを持つ領域です。中心には若い散開星団 Trumpler 37 があり、高温の大質量星が水素ガスを電離し赤く輝くHα領域を形成しています。象の鼻状の暗黒星雲は新しい星を育む「星形成領域」で、外側からの強烈な紫外線によって彫刻のように削られたガスと塵の柱です。特に先端部には原始星が多数確認されており、星が誕生する瞬間ということで科学的にも重要な対象です。複雑に入り組んだ暗黒帯、淡い輝きのHII領域、そして背景に散らばる無数の星々が重なり、IC1396は広視野撮影でこそ真価を発揮する「構造の美しさと科学的ドラマ」が共存する名星雲です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.07.26 01:54 / 総露光114分

2026/07/27

初秋の宝石箱(1)-巨大な宇宙の泡 (NGC7635)ー

                   カシオペア座の泡星雲(NGC 7635)は、直径約7光年の巨大なガスの泡が宇宙空間に浮かぶ、印象的な散光星雲です。中心で強烈な恒星風を吹き出すO型星 BD+60°2522が周囲の水素ガスを押し広げ、まるで宇宙に石鹸泡が膨らんだような構造を形成しています。星雲の外縁が明るく輝くのは、衝撃波で圧縮されたガスが電離し、HαやOIIIの輝線を放つためです。距離は約7,100光年、星形成が盛んなカシオペア座の分子雲複合体の一部に位置し、恒星の進化と周囲の星間物質の相互作用を示す好例として研究対象にもなっています。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.07.25 05:32 / 総露光48分

2026/07/26

春の北天銀河(39)ー 北天の銀河 見かけは大きめでもつかみどころのない淡い銀河 NGC 4236 ー

                   
NGC4236は、おなじみM81銀河群の一員で、全長約2万光年以上に広がる棒渦巻銀河です。しかしその姿は非常に淡く、腕の構造もはっきりしないため、観察者泣かせの対象として知られています。星形成領域は散在的で、銀河全体の表面輝度が低いことが特徴です。 今回のSeestar S50による63分露光では、中心部のわずかな明るさと、周囲に広がる薄い星間物質の広がりが静かに浮かび上がりました。派手さはないものの、M81群の中で最も「控えめな銀河」ともいえる存在で、淡い光の中に銀河進化の多様性を感じさせてくれます。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.07.24 23:08 / 総露光63分

2026/07/20

春の北天銀河(38)ー 北天の棒渦巻銀河 NGC 7479(C44)ー

                                                                                           
     Seestar S50で40分露光して捉えたのは、ペガサス座の棒渦巻銀河 NGC 7479(C44)。その独特の形状から「プロペラ銀河」とも呼ばれています。地球から約 1.3億光年 の距離にあり、中心部には強い電波を放つ活動銀河核(AGN)が存在します。銀河のバー構造は片側が長く伸び、もう片側が巻き込むように湾曲しており、これは過去の銀河同士の相互作用が原因と考えられています。 今回の撮影では、淡い腕の広がりと周囲の星野がよく写りプロペラ状の非対称構造確認できます。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.06.13 03:58 / 総露光40分

2026/07/16

春の北天銀河(14再撮影)ー色彩豊かな中心部と淡い周辺部から成るM106銀河ー(6月1日)

        

りょうけん座の渦巻銀河 M106(NGC 4258) を Seestar S50 で撮影しました。地球から約 2,300 万光年の距離にあり、中心部には強い電波を放つ 活動銀河核(AGN) が存在します。そのため核周辺は色彩豊かで明るく輝き、独特の「異常腕(anomalous arms)」と呼ばれる構造が見られることでも知られています。一方で、銀河外縁の淡い腕は非常に光度が低く、長時間露光を重ねても浮かび上がらせるのが難しい領域です。今回の撮影でも、中心部の力強い輝きと対照的に、周辺部は繊細な階調が求められる挑戦的な対象でした。5月4日に掲載した画像(3月15日撮影)の方が外周の写りはよいようです。見比べてみてください。なお、南側に見えているNGC 4248 は、りょうけん座に位置する小型の不規則銀河で、視野上は 近いですが、最新の距離測定では M106 とは別の距離にある銀河とされています。

撮影データ:M106 / 149min / Seestar S50 / 2026.06.01 01:42

夏の天の川散歩ー北天の散光星雲(6)暗黒帯に浮かぶ、はくちょう座のまゆ星雲(ICIC 5146)

はくちょう座の暗黒帯に浮かぶ「まゆ星雲(IC 5146)」を Seestar S50 で撮影しました。約 4,000 光年の彼方に位置し、中心には誕生したばかりの若い星が潜んでいます。周囲を取り巻く赤い輝きは、水素ガスが高エネルギー光で励起されることで生じる Hα(輝線) の発光です。この領域の魅力は、星雲の背後に広がる暗黒星雲(バーナード列)が複雑に入り組み、星々の光を遮りながら立体的な陰影を作り出す点にあります。星形成が進む分子雲と、輝く星雲、そして密集した星野が一枚に収まり、まさに「銀河の織物」と呼びたくなる景観です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.06.01 03:03 / 総露光58分

2026/07/14

春の北天銀河(37)ー 北天に潜む“片目”の渦巻銀河、M64(黒目銀河)ー

 

 M64はかみのけ座に位置する距離約 1700万光年 の渦巻銀河で、中心部を横切る濃い暗黒帯が“黒目”のように見えることから「黒目銀河」として知られています。核の周囲のこの暗黒帯は、銀河内部のガス運動が内側と外側で逆回転しているという特異な力学構造と関係していると考えられています。外側の円盤は淡く広がり、内側の高密度領域との対比が強いため短い露光でも“黒目”が印象的に写ります。北天の銀河シリーズの中でも、M64は形態の分かりやすさと科学的個性が両立した代表格と言える存在です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.30、22h :03m / 総露光18分

2026/07/13

春の北天銀河(36)ー ゆるやかな棒状構造をもつ淡い渦巻銀河 (NGC 3319 )ー

 りゅう座は周極星座で日本からはいつでも見える北天の星座です。NGC 3319銀河は、りゅう座の距離約 4700万光年かなたに位置する棒渦巻銀河(SBc型)です。中心部には細長いバー構造が伸び、その両端からゆるやかに巻き始める腕が特徴的です。腕は非常に淡く銀河全体が柔らかくほどけたような姿を見せています。アマチュアの撮影では、淡い腕をどこまで描き出せるかが腕の見せどころ。今回の撮影では、バーの存在感と周囲の星々の中に浮かぶこの銀河の独特の形がよく表れており、NGC3319らしい「控えめだが味わい深い」姿が捉えられています。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.30、02h :03m / 総露光83分


2026/07/12

春の北天銀河(35)ーNGC 3189 を中心とした小規模銀河群 HCG44 ー (5月29日)

                                                                                          

NGC3189(別名NGC3190)を中心に広がるこの領域は、Hickson Compact Group 44(HCG44)という小規模銀河群で、約 8,000万光年 の距離にあり、重力的に影響し合う銀河が密集する興味深い領域です。画像には、NGC3185(棒渦巻銀河)・NGC3187(強くねじれた渦巻構造)・NGC3193(楕円銀河)が同一視野に収まり、形態の違いが一目で分かります。小型望遠鏡でもこれだけの構造が捉えられるのは、長時間露光の積み重ねによる成果で、銀河群の個性が美しく浮かび上がりました。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.29、22h :53m / 総露光113分

2026/07/09

春の北天銀河(34)M90とIC3583:近接して見えていても実は離れていて、性質の異なる銀河ペア (5月19日)

今回の画像は、うしかい座のM90(NGC 4569)とすぐ北側に位置するIC 3583です。両者は見かけ上近接していますが実際には離れていて、物理的な相互作用は確定していません。むしろ、性質の違いが際立つ興味深い組み合わせです。

M90は、距離約 5,500万光年、スピンドル状の美しい渦巻銀河。IC 3583は、距離は約 3,000万光年前後で、M90とは距離が一致していない小型不規則銀河で、見かけ上はペアのように並ぶものの、実際には異なる距離にあり、進化の背景もまったく異なる銀河同士という点が、この組み合わせの最大の見どころです。Seestar S50による61分露光で、M90の淡い外縁部とIC 3583の不規則な姿が捉えられています。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.19、21h :30m / 総露光61分

2026/07/08

春の南天銀河(11)ーおとめ座の「速度異常を示す特異な銀河」M98 (NGC4192) ー (5月20日)


M98は、おとめ座銀河団の一員で 距離約4,400万光年、分類は SA(s)ab:棒構造を持たない中間型渦巻銀河です。視直径は約 9.8′ × 2.8′ と細長く、地球からはほぼ エッジオン(側面) で見えるため中心部の暗黒帯が強調され引き締まった印象です。最大の特徴として、銀河団内で異常に大きな固有速度(約−1,400 km/s)を示します。重力場で高速移動するため周囲のガスと相互作用するとされ、「ダイナミックな環境にある銀河」として研究されています。中心部には明るいバルジがあり外側に渦状構造が淡く広がります。今回のSeestar S50による60分露光では、M98特有の細長い形状と中心部の輝きがよく捉えられています。

M98の南側に位置する NGC 4186 は、距離約 5,000万光年前後 の渦巻銀河で視直径は 約2′ と小さ目です。分類は SAB(s)c の「小型スパイラル銀河」に属します。おとめ座銀河団の周縁部に位置しており、M98と同じく銀河団の重力場の影響を受けている可能性が高い天体です。

撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.20、00h:42m / 総露光60分

2026/07/07

夏の天の川散歩 ー南天の散光星雲(4再)干潟星雲(M8)と三裂星雲(M20)ー(5月19日)

夏の天の川を代表する二大星雲、M8(干潟星雲)とM20(三裂星雲)を同一視野で収めた一枚です。どちらも射手座方向の大規模な星形成領域で、若い高温星が周囲のガスを強く照らし出しています。M8(干潟星雲) 約4,100光年の距離にある巨大なHII領域で、中央の明るい星団(NGC 6530)が星雲全体を輝かせています。複雑なガスの濃淡と広がりが圧倒的で、夏の代表的な撮影対象です。M20(三裂星雲) 赤い発光星雲と青い反射星雲が同居し、暗黒帯が三方向に伸びる独特の構造が特徴です。色彩の対比が美しく、干潟星雲との並びはまさに「夏の名コンビ」といえます。

Seestar S50による撮影でも両者の個性がしっかり表現され、天の川中心部の豊かな星々とともに、夏の空の迫力を感させる仕上がりになりました。

撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.19、03h:32m / 総露光49分



夏の天の川散歩ー北天の散光星雲(5)はくちょう座のHII領域複合体を形成する小さな星雲、IC5068 ー(5月19日)

IC 5068は、はくちょう座の大規模なHII領域複合体の一部で、ペリカン星雲(IC 5070)に隣接する小さな散光星雲です。電離水素が放つHα光が主体で、淡い赤色のフィラメント状構造が広がり、星形成領域の外縁部らしい複雑な輝度変化を特徴としています。距離は約2,000光年、北アメリカ星雲・ペリカン星雲と同じ巨大分子雲の一角を成しています。単独では目立たない存在ですが、星形成を進める巨大雲の「境界面」を示す重要な領域であり、周囲の高温星からの紫外線によってガスがゆっくりと彫刻されていく過程を観察できる点に科学的価値があります。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.19、02h:06m / 総露光62分
 

夏の天の川散歩 ー北天の散光星雲(5)— 明るく広がる超新星残骸の網状星雲東側(NGC 6962)ー(5月18日)

                                                                                           

 はくちょう座に広がる網状星雲の東側部分、NGC 6992は、約1万〜2万年前に起きた超新星爆発の衝撃波が星間ガスを美しく照らし出す領域です。西側(NGC 6960)よりも明るく、細かなフィラメント構造が密集しているため、レースのような複雑な模様が際立ちます。科学的には、酸素(O III)の青緑色成分と水素(Hα)の赤い輝きが入り混じり、衝撃波がガスを電離しながら進む様子です。視直径は約30光年ほどもあり、超新星残骸のダイナミックな広がりを実感できる領域です。
撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.18、04h:33m / 総露光45分

2026/07/06

春の北天銀河(4 再掲載) ー同一視野で楽しむ星雲と銀河の対照的な姿ーふくろう星雲(M97)と 葉巻星雲 (棒渦巻銀河 M108)ー(5月17日)

                                              

今回の画像は、ふくろう星雲として知られる惑星状星雲 M97 と、棒渦巻銀河 M108 を同一視野で捉えた人気のツーショットで、2月16日にも同様な画像を掲載しています。わずか50mm口径のSeestar S50でも両者がしっかり写るのは驚きで、拡大画像ではそれぞれの特徴がより明瞭に確認できます。片方は天の川銀河内の近傍天体、もう片方は数千万光年彼方の巨大銀河というスケール差が際立ち、天体写真ならではの醍醐味を感じさせる組み合わせです。

M97(惑星状星雲) 地球から約2,000光年。中心星の放出したガスが球状に広がり、淡い青色の光が印象的です。内部の濃淡構造が「ふくろうの目」に見えることからこの愛称が付いています。

M108(棒渦巻銀河) 約4,500万光年の距離にある銀河で、正面ではなく横から見た形のため、細長い銀河円盤と不規則な暗黒帯がよく目立ちます。中心部の輝度が高く、周囲の淡い外縁部まで写ると立体感が出ます。

夏の天の川散歩 ー北天の散光星雲(4)アイリス星雲(C4, NGC 7023)ー(5月18日)

青い光が印象的なアイリス星雲(C4, NGC 7023)は、約1,300光年彼方のケフェウス座に位置する代表的な反射星雲です。中心にある若い星 HD 200775 の光を周囲の微細な塵が散乱することで、花いはなびらのような青い輝きが生まれています。星雲を包む暗黒雲は複雑な構造を持ち、星形成が進む領域としても研究対象になっていますが、煩瑣星雲は今回の撮像ではあまりはっきりしません。強く処理すれば見えないことはないのですが、像が荒れます。Seestar S50の光学性能(口径50mm, 焦点距離250mm)の限界とも言えますが、露出時間(スタック数)の延長、透明度の高い空での撮影、などチャレンジして像の改善を目指したいと思います。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.18、01h:18m / 総露光76分


北天で最も迫力ある球状星団 -M13-(5月13日)

M13球状星団は、約2万5千光年の距離にあり、直径は約150光年、数十万個もの古い恒星がぎっしりと詰まっています。年齢は120億年以上とされ、銀河系形成初期の姿を今に伝える“化石的天体”です。球状星団の画像処理で難しいのは、中心部の強烈な輝きと外側の淡い星々のバランスですが、今回のM13は7分露光ながら密集したコアの輝きと周辺の星の広がりがよく分かる写りになりました。特に中心部の粒状感がしっかり出ており、Seestar S50でも球状星団の立体的な構造が十分に楽しめることを示す好例だと思います。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.13, 23h:14m / 総露光7分

 

M81の静、M82の動──Seestar S50で描き分ける銀河の個性(5月10日)

                     

今回、Seestar S50で同一視野に収めたM81とM82を、それぞれに適した画像処理で仕上げてみました。両者とも赤成分が弱く、特にM82の中心から吹き上がるジェット状アウトフローは迫力が控えめですが、銀河の性質の違いは十分に感じられます。M81は、距離約1200万光年、典型的な大型渦巻銀河で、明るい核と整った腕の構造が安定して写り、長時間露光の効果が素直に出ます。一方のM82は「スターバースト銀河」として知られ、激しい星形成が進む不規則形の銀河です。赤いアウトフローは弱めながらも、細長い本体の質感や中心部の微細構造は表現できているかと思います。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.10, 21h:34m (M82)、22h:38 (M81) / 総露光70分 (M82)、115分 (M81)


2026/07/05

春の北天銀河(34)ー北天の花火銀河(C12/NGC 6946)ー(5月17日)

  NGC 6946(C12、花火銀河)は、はくちょう座とケフェウス座の境界付近に位置する距離約2200万光年のフェイスオン銀河で、星形成が非常に活発なことで知られています。過去100年ほどの間に10個近い超新星が観測され、「花火」の名の由来となっています。渦巻腕は比較的ゆるやかで、淡いながらも複数の腕が重なり合うように広がっています。今回の画像では、主要な渦巻構造がはっきりと捉えられ、夏の天の川の星々の中に浮かぶ遠方銀河の存在感が際立っています。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.17, 03h:51m / 総露光57分

夏の天の川散歩 ー北天の散光星雲(3)網状星雲(NGC6960)ー(5月15日)

NGC6960(西側・魔女のほうき星雲)は、はくちょう座に広がる巨大な超新星残骸「網状星雲」の一部で、約1万〜2万年前に爆発した大質量星の衝撃波が電離ガスを美しいフィラメント状に描き出しています。距離はおよそ2400光年。酸素(OIII)の青緑、そして水素(Hα)の赤が織り成す色彩は、夏の天の川の中でもひときわ印象的です。中央の明るい星52 Cygniが構図のアクセントとなり、衝撃波のカーブを際立たせます。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.15, 03h:33m / 総露光51分

2026/07/04

夏の天の川散歩 ー南天の散光星雲(4)三裂星雲(M20)— 赤と青が織りなす“二重構造”の美ー(5月11日)

M20(三裂星雲)— 赤と青が織りなす“二重構造”の美

赤い散光部と青い反射部が鮮明に分かれ、三裂構造を形づくる暗黒帯もよく写り込みました。青成分は小口径では難しい対象ですが、Seestar S50による今回の撮影では期待に近い色調が得られ、星雲の立体感が際立っています。M20は約5,000光年先、いて座の銀河系中心方向に位置し、星形成の盛んな領域です。中央の若い大質量星が周囲のガスを強く照らし、赤い電離ガス(Hα)と青い反射星雲が接する構造を持つ美しい星雲です。小型スマート望遠鏡での作例ですが、M20の魅力を素直に伝えてくれる仕上がりです。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.11, 02h:48m / 総露光70分

 

2026/07/03

夏の天の川散歩 ー南天の散光星雲(3)わし星雲(M16)ー(5月14日)

     今回のM16は、66分露光とは思えないほど中心部の微細構造がよく写り、特に「創造の柱」と呼ばれる暗黒星間物質の柱状構造が印象的です。M16は約7,000光年彼方、へび座に位置する大規模な星形成領域で、若い高温星が放つ強い紫外線によって周囲の水素ガスが輝いています。ハッブル宇宙望遠鏡による観測で一躍有名になった天体ですが、小口径でもここまで立体感のある描写が得られるのは興味深い点です。春から初夏にかけて観望好期を迎え、天文イベントでも取り上げられる機会の多い天体です。

撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.14, 03h:17m / 総露光66分

夏の天の川散歩 ー南天の散光星雲(2)オメガ星雲(M17)ー(5月14日)

                                                                            

M17(オメガ星雲/白鳥星雲)は、いて座に広がる代表的な散光星雲で、地球から約5,000〜6,000光年の距離に位置する巨大な星形成領域です。今回のSeestar S50による101分露光では、Hαを中心とした輝線が見事に捉えられ、雲状構造の複雑な濃淡や、若い星々が周囲のガスを照らし出す様子が細部まで浮かび上がりました。中心部の明るい“くちばし”状の形は、強烈な紫外線を放つO型星団によって彫刻されたガスの壁で、M17の象徴的な姿です。M17は夏の天の川を彩る人気対象で、毎年この季節になると世界中の観測者が撮影を楽しむ恒例イベントのような存在です。今回の画像は、コンパクトな機材ながら星雲内部の微細構造まで写り込んでおり、夏の星雲撮影の醍醐味が詰まった一枚と言えます。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.14 01h:49m / 総露光101分

2026/07/02

クジラ銀河(NGC 4631)拡大像 ― 透明度の良い夜が描き出した微細構造

4月21日に撮影したクジラ星雲を6月25日に掲載したばかりですが、今回アップする5月9日のクジラ銀河は、同じSeestar S50による撮影とは思えないほど微細構造がよく写りました。この夜は透明度が高かったのか、シーイングが良かったのか、銀河の縁のささくれたような質感や、中心部の濃淡の変化がはっきりと浮かび上がっています。特に、銀河の外縁に沿って伸びる淡い光の筋や、内部の青白い星形成域のざらつきは、拡大してこそ分かる見応えのあるディテールです。同じ対象でも条件次第でここまで表情が変わることを改めて実感させられる一枚となりました。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.10, 00h:19m / 総露光86分

2026/07/01

夏の天の川散歩 ー南天の散光星雲(1)干潟星雲(M8)と猫の手星雲ー(5月10日)


散光星雲 M8(干潟星雲)を、Seestar S50で55分露光しました。視野いっぱいに広がる赤い輝きは電離した水素ガスの発光で、星形成が現在も進行している領域です。中心部の明るいHII領域と複雑な暗黒帯が織りなす造形は、何度見ても圧倒的な迫力があります。ただし、M8は日本から見ると南中高度が低く、撮影が限られる難物でもあります。透明度の良い夜でないと細部の構造を捉えることができません。また、M8の東側には「猫の手星雲」と呼ばれる領域が連なっており、淡いガスの広がりがまるで猫の前足のように見えることからその名が付いたと言われています。干潟星雲と猫の手星雲は、夏の天の川を代表する見応えある対象です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.10 02h:40m / 総露光55分

2026/06/25

春の北天銀河(33)ークジラ銀河(NGC4631)」とホッケースティック銀河(NGC4656)ー(4月21日)

銀河内部では活発な星形成が続いています。りょうけん座の方向、約3000万光年のかなたに位置するNGC 4631(クジラ銀河)は、真横から見た姿がクジラのように見えることで知られています。銀河内部では活発な星形成がつづいています。そのすぐ南に伸びる NGC 4656(ホッケースティック銀河) は、重力相互作用で形が大きく歪んだ不規則銀河で、先端が曲がった“スティック”のような独特の姿が特徴です。近傍の伴銀河 NGC 4657 との相互作用が形状の乱れを生み、銀河内では局所的な星形成が活発化していることが知られています。今回のように 同一視野で両者を収めると、銀河同士が互いに影響し合いながら進化していく様子が一望できるのが大きな魅力です。Seestar S50 の長時間露光により、クジラ銀河の細かな濃淡や、スティック銀河の曲がった外縁部までしっかり写し出されています。 撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.21 23時29分 / 総露光54分

2026/06/22

夏の天の川散歩 ー北天の散光星雲(3)クレセント星雲(NGC6888)ー(4月22日)

                                                                             

夜半には夏の星座が天頂にかかる季節となりました。その空を彩るはくちょう座の中で、ひときわ印象的なのがクレセント星雲(NGC 6888)です。この星雲は、中心にあるウォルフ=ライエ星 WR136が、過去に放出したガスの殻を強烈な恒星風で吹き飛ばし、衝撃波によって輝いている“宇宙の風船殻”のような天体です。地球からの距離は約5,000光年。赤く光る水素ガスと、衝撃波で励起された酸素の淡い輝きが重なり、独特の三日月形を形づくっています。夏の天の川の中に浮かぶこの星雲は、“初夏の使者”のようにも感じられます。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.22 03時27分 / 総露光121分


2026/06/19

初夏の風が運んでくる季節の香り ー月、金、木、水星が、西の空に一直線ー(6月19日)

                                                                                        

初夏の夕暮れ、西の空にそっと一本の光の道が伸びていました。

細い月、そのすぐ下に金星、さらに木星、そして地平線近くの水星。太陽の余韻が残る薄明の空に、四つの光が静かに並ぶ姿は、まるで季節の境目にだけ現れる“空の詩”のようです。

天文学的には、黄道に沿って惑星が並ぶごく自然な配置。けれど、これほど整った直線に月まで加わるのは、数年に一度あるかどうかのほんの短い奇跡。 金星の −4 等級の輝き、木星の堂々たる存在感、そして水星が見える透明度の高い空がそろってこそ生まれる光景です。

撮影データ:キャノンEOS6D、タムロン28-300mm望遠レンズ(50mmで使用)、ISO200、露出0.3秒、2026年6月18日 20時04分。自宅前の道路にて。

2026/06/16

春の北天銀河(32)ーC36(NGC 4559)銀河 —  Seestar S50で捉えた淡い腕と周辺構造

  • C36(NGC 4559)は、りょうけん座にある約3,000万光年彼方の渦巻銀河で、外縁まで広がる“フロック状”の腕が特徴です。今回の119分露光では、Seestar S50とは思えないほど淡い外側構造まで滑らかに写り、透明度の良さが際立っています。銀河は過去の小規模な相互作用の影響と考えられる非対称な外縁部を持ち、周囲には若い星が生まれるHII領域が点在します。画像左下の赤い部分は、そのHII領域の一つとみられ、水素ガスがHαで輝く星形成域がわずかに写り込んだものと考えられます。

2026/06/15

春の北天銀河(1再々)ー子持ち銀河(M51)ー (4月13日)

今回の M51(子持ち銀河)は、Seestar S50 による 2 時間超の長時間露光で撮影したものです。これまでにも同程度の露光で撮った M51 を掲載してきましたが、今回は シーイング・透明度ともに好条件が重なったようで、腕の細部や伴銀河周辺の乱れなどが一段と滑らかに浮かび上がりました。小口径の Seestar S50でも、撮影条件がかみ合うと描写がぐっと伸びることを感じさせる一枚です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.13 23h:52m / 総露光122分


2026/06/14

春の南天銀河(10)ーM99銀河とその周辺ー (6月13日)

うしかい座の渦巻銀河 M99(NGC4254)は、約5,500万光年先のおとめ座銀河団の一員です。小さめの銀河ながら、複数の渦状腕がはっきりと広がる「非対称スパイラル」として知られ、片側の腕だけが強く伸びる独特の形は、過去の重力相互作用の結果と考えられています。星形成も活発で、青く若い星々が腕を縁取る姿は小型機材でも写りやすく、今回のように複数の腕が明瞭に浮かび上がるのが魅力です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.06.13 23h:11m / 総露光57分

2026/06/13

夏の天の川散歩 ー北天の散光星雲(2)ペリカン星雲(IC5070)ー(4月16日)

夏の天の川を彩る代表的なHII領域のひとつ、ペリカン星雲(IC5070)。すぐ隣の北アメリカ星雲(NGC7000)とは、実は同じ巨大分子雲の一部で、若い大質量星が放つ強烈な紫外線によってガスが電離し、複雑な形を描きながら輝いています。両者の間に横たわる暗黒帯は、星間塵が濃く集まった領域で、星雲の輪郭を際立たせる“境界線”の役割を果たしています。近年は、この周辺で進む段階的な星形成(sequential star formation)が注目され、ガスの圧縮やフィラメント構造が若い星々の誕生を促していることが示唆されています。何度撮っても新しい表情を見せてくれる星雲で、夏の天の川散歩には欠かせない存在です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.16 03h:25m / 総露光23分

夏の天の川を歩くー北天の散光星雲(1)(北アメリカ星雲 NGC 7000)


   夜明け前の東の空に、夏の星座が静かに姿を見せ始める季節になりました。 その幕開けを告げるように、はくちょう座の北アメリカ星雲(NGC7000)が濃い赤色をまとって浮かび上がります。この星雲は約2,000光年の彼方に広がる巨大なHII領域で、若い星々が放つ紫外線によって水素ガスが輝き、北米大陸のような特徴的な輪郭を形づくっています。Seestar S50で77分積み重ねた今回の一枚には、暗黒帯の入り組んだ構造や、淡い赤の濃淡が織りなす“初夏の空気”がしっかりと写り込みました。春の銀河とは異なる、にじむような星雲の広がり。これから本格的に始まる夏の天の川シーズンを予感させる、最初の一枚です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.13 03h:07m / 総露光77分

2026/06/11

春の赤道付近の銀河(3) -(しし座の相互作用渦巻銀河、M95とM96ー (4月9日)

 
  しし座の銀河群の中でもよく似た姿のM95(NGC 3351)と M96(NGC 3368) が同じ視野(Seestar S50画面横置)に収まっています。どちらも地球から約 3,300 万光年 前後に位置するしし座 I 銀河群(Leo I Group) の主要メンバーです。M95 は強い棒構造を持つバードスパイラル銀河(SBb)で、中心部のリング状領域で活発な星形成の存在が知られています。一方、M96 はやや非対称な渦巻構造を持ち、過去の重力相互作用の痕跡と考えられる外縁部のゆがみが特徴です。見た目は「穏やかな渦巻銀河」ですが、内部構造や進化の履歴は対照的で、同じ銀河群に属しながら個性がはっきり分かれる好例です。今回の撮影では、Seestar S50 の 5cm 口径とは思えないほど、両銀河のコアの輝きや腕の質感がよく写り、春の銀河シーズンらしい豊かな表情が捉えられています。

撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.09 01h:48m / 総露光122分

2026/06/10

春の南天銀河(9)ーM88・M91と周辺銀河ー (4月8日)

おとめ座銀河団の中心部からやや北側に位置する領域で、“銀河密集地帯” です。M88(NGC 4501) は、明瞭な渦状腕を持つ美しい渦巻銀河(Sb型)で、銀河団内で高速運動しているため外縁部のガスが剥ぎ取られつつある可能性があります。一方の M91(NGC 4548) は、中心に棒構造を持つ渦巻銀河(SBb型)で、星形成が抑制された“アナモルファス銀河”です。視野内には、NGC 4516、NGC 4571、IC 3476 など、地球から約 5000〜6000 万光年の銀河が点在しています。互いに重力的な影響を及ぼし合いながら進化しています。Seestar S50 のコンパクトな光学系でも銀河団の立体感や個々の銀河の個性が捉えられている点が印象的です。

撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.08 20h:12m / 総露光50分

2026/06/06

春の北天銀河(31)ーかみのけ座の渦巻銀河 M100(NGC 4321)を中心に、周囲の小銀河まで-(4月7日)

かみのけ座の渦巻銀河 M100(NGC 4321)を中心に、周囲の小銀河まで一望できる写野を撮影しました。 M100は地球から約5,500万光年、おとめ座銀河団(Virgo Cluster)に属する典型的なグランドデザイン渦巻銀河(grand‑design spiral galaxy)です。すなわち、渦巻腕が、はっきりと二本以上主構造として伸び、全体として整然とした渦巻パターンを示す銀河です。直径は約10万光年と、天の川銀河とほぼ同規模です。今回の画像では、M100の周囲に位置するNGC 4323(伴銀河)、NGC 4328、NGC 4312、IC 783など、同じ銀河団に属する小銀河が複数写り込んでいます。これらはM100と重力的にゆるく結びついたり、銀河団の密度の高い環境で相互作用を受けながら進化している天体です。
 小口径のSeestar S50でも、長時間露光によりこのような複数銀河の存在が明瞭に浮かび上がり、銀河団の奥行きと広がりを感じられる一枚となりました。
撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.07 23h:04m / 総露光61分

春の北天銀河(30)ー バルジをほとんど持たない小型渦巻銀河(NGC 4,395)-(3月26日)

 

NGC 4395 は、りょうけん座に位置する距離約 1,400 万光年の小型渦巻銀河で、銀河としては珍しく“バルジをほとんど持たない”構造が特徴です。
外観は淡く広がる低表面輝度の腕が主体で、星形成領域も控えめなため、見た目は非常におとなしい印象を与えます。しかし中心には、わずか 1〜10 万太陽質量という極端に小さいのに活動的なブラックホール(低質量 AGN)が存在し、“最も近い Seyfert 銀河(中心が異常に明るい“活動中”の渦巻銀河
)の一つ”として実はとてもユニークな天体です。今回の 51 分露光では、淡い外縁の広がりや青みを帯びた星形成領域が滑らかに浮かび上がり、NGC 4395 の“控えめだが個性的な姿”がよく表現されています。 撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.05 23h:24m / 総露光51分

2026/06/05

春の北天銀河 (2 再) ーひまわり銀河 (M63)ー ( 4月6日 )

                                                                                           

 今回の対象天体 M63(NGC 5055) は、距離約 2,900 万光年 に位置する SA(rs)bc 型の渦巻銀河で、外縁部に広がる“ひまわり”状の フロクチュエーション(flocculent)構造が特徴です。直径は約 10 万光年 と天の川銀河に匹敵し、銀河全体に散在する星形成領域が淡く広がります。今回の Seestar S50 による131 分露光 では、外周の微細な腕の粒状構造まで滑らかに描出され、これまでの当該ブログのM63掲載画像の中でも最も高い解像度レベルに到達している印象があります。中心部の輝度勾配も自然で、長時間露光の効果がよく現れた仕上がりです。
 右上に細長く写る銀河状天体は、主要カタログに登録のない無名の微小銀河です。長時間露光によって初めて姿を現すほど淡い天体で、今回の画像ではっきり確認できたのは収穫でした。

 撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.06 04h:42m / 総露光131分

2026/06/04

春の北天銀河(6-1再)— 端正な渦巻の中に潜む静かなドラマ(M81、ボーデの銀河)ー(4月2日)

  今回のM81は、おおぐま座銀河団の中心的存在で、距離12000光年、明るいバルジをもつ整った渦巻銀河です。M82との同一視野での掲載が多かったこれまでの構図から離れ、単独処理によって銀河本体の精細さを引き出すことを意図して仕上げました。57分露光の積み重ねにより、明るい核から外側へ広がる渦巻腕の階調が滑らかに表現され、全体として落ち着いた“古典的渦巻銀河”の姿がよく現れています。一方で、M81内部に点在するHII領域(散光星雲)の赤い発光は控えめとなりました。小口径機材では赤成分が埋もれやすく、フィルター選択や露光時間の最適化など、今後の改善余地がありそうです。M82の激しいスターバーストとは対照的に、M81は静かで端正な銀河の代表格です。単独で眺めることで、その落ち着いた美しさがより際立つ一枚になりました。
撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.02 22h:52m / 総露光57分

春の北天銀河(6-2 再)ー スターバースト銀河 M82 (NGC3034) ー(4月2日)

      

M82(NGC 3034)は、約1,200万光年先の北斗七星近くに位置する“スターバースト銀河”で、銀河中心から噴き上がる赤い超新星風が特徴的です。今回の画像はM81とのツーショットではなく、M82単独で処理したことで、細長い本体の中に潜む複雑な暗黒帯や中心部の乱れがより見やすくなりました。M82では現在も激しい星形成が続いており、中心部では太陽の数十倍の質量を持つ若い星が次々と誕生しています。その結果、超新星爆発や強烈な恒星風が重なり、銀河の上下方向へ“火炎”のような赤いガス流(スーパーウィンド)が吹き出しているのが、この銀河最大の見どころです。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.02 22h:56m / 総露光59分