2026/06/25

春の北天銀河(33)ークジラ銀河(NGC4631)」とホッケースティック銀河(NGC4656)ー(4月21日)

銀河内部では活発な星形成が続いています。りょうけん座の方向、約3000万光年のかなたに位置するNGC 4631(クジラ銀河)は、真横から見た姿がクジラのように見えることで知られています。銀河内部では活発な星形成がつづいています。そのすぐ南に伸びる NGC 4656(ホッケースティック銀河) は、重力相互作用で形が大きく歪んだ不規則銀河で、先端が曲がった“スティック”のような独特の姿が特徴です。近傍の伴銀河 NGC 4657 との相互作用が形状の乱れを生み、銀河内では局所的な星形成が活発化していることが知られています。今回のように 同一視野で両者を収めると、銀河同士が互いに影響し合いながら進化していく様子が一望できるのが大きな魅力です。Seestar S50 の長時間露光により、クジラ銀河の細かな濃淡や、スティック銀河の曲がった外縁部までしっかり写し出されています。 撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.21 23時29分 / 総露光54分

2026/06/22

夏の天の川散歩 ー北天の散光星雲(3)クレセント星雲(NGC6888)ー(4月22日)

                                                                             

夜半には夏の星座が天頂にかかる季節となりました。その空を彩るはくちょう座の中で、ひときわ印象的なのがクレセント星雲(NGC 6888)です。この星雲は、中心にあるウォルフ=ライエ星 WR136が、過去に放出したガスの殻を強烈な恒星風で吹き飛ばし、衝撃波によって輝いている“宇宙の風船殻”のような天体です。地球からの距離は約5,000光年。赤く光る水素ガスと、衝撃波で励起された酸素の淡い輝きが重なり、独特の三日月形を形づくっています。夏の天の川の中に浮かぶこの星雲は、“初夏の使者”のようにも感じられます。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.22 03時27分 / 総露光121分


2026/06/19

初夏の風が運んでくる季節の香り ー月、金、木、水星が、西の空に一直線ー(6月19日)

                                                                                        

初夏の夕暮れ、西の空にそっと一本の光の道が伸びていました。

細い月、そのすぐ下に金星、さらに木星、そして地平線近くの水星。太陽の余韻が残る薄明の空に、四つの光が静かに並ぶ姿は、まるで季節の境目にだけ現れる“空の詩”のようです。

天文学的には、黄道に沿って惑星が並ぶごく自然な配置。けれど、これほど整った直線に月まで加わるのは、数年に一度あるかどうかのほんの短い奇跡。 金星の −4 等級の輝き、木星の堂々たる存在感、そして水星が見える透明度の高い空がそろってこそ生まれる光景です。

撮影データ:キャノンEOS6D、タムロン28-300mm望遠レンズ(50mmで使用)、ISO200、露出0.3秒、2026年6月18日 20時04分。自宅前の道路にて。

2026/06/16

春の北天銀河(32)ーC36(NGC 4559)銀河 —  Seestar S50で捉えた淡い腕と周辺構造

  • C36(NGC 4559)は、りょうけん座にある約3,000万光年彼方の渦巻銀河で、外縁まで広がる“フロック状”の腕が特徴です。今回の119分露光では、Seestar S50とは思えないほど淡い外側構造まで滑らかに写り、透明度の良さが際立っています。銀河は過去の小規模な相互作用の影響と考えられる非対称な外縁部を持ち、周囲には若い星が生まれるHII領域が点在します。画像左下の赤い部分は、そのHII領域の一つとみられ、水素ガスがHαで輝く星形成域がわずかに写り込んだものと考えられます。

2026/06/15

春の北天銀河(1再々)ー子持ち銀河(M51)ー (4月13日)

今回の M51(子持ち銀河)は、Seestar S50 による 2 時間超の長時間露光で撮影したものです。これまでにも同程度の露光で撮った M51 を掲載してきましたが、今回は シーイング・透明度ともに好条件が重なったようで、腕の細部や伴銀河周辺の乱れなどが一段と滑らかに浮かび上がりました。小口径の Seestar S50でも、撮影条件がかみ合うと描写がぐっと伸びることを感じさせる一枚です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.13 23h:52m / 総露光122分


2026/06/14

春の南天銀河(10)ーM99銀河とその周辺ー (6月13日)

うしかい座の渦巻銀河 M99(NGC4254)は、約5,500万光年先のおとめ座銀河団の一員です。小さめの銀河ながら、複数の渦状腕がはっきりと広がる「非対称スパイラル」として知られ、片側の腕だけが強く伸びる独特の形は、過去の重力相互作用の結果と考えられています。星形成も活発で、青く若い星々が腕を縁取る姿は小型機材でも写りやすく、今回のように複数の腕が明瞭に浮かび上がるのが魅力です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.06.13 23h:11m / 総露光57分

2026/06/13

夏の天の川散歩 ー北天の散光星雲(2)ペリカン星雲(IC5070)ー(4月16日)

夏の天の川を彩る代表的なHII領域のひとつ、ペリカン星雲(IC5070)。すぐ隣の北アメリカ星雲(NGC7000)とは、実は同じ巨大分子雲の一部で、若い大質量星が放つ強烈な紫外線によってガスが電離し、複雑な形を描きながら輝いています。両者の間に横たわる暗黒帯は、星間塵が濃く集まった領域で、星雲の輪郭を際立たせる“境界線”の役割を果たしています。近年は、この周辺で進む段階的な星形成(sequential star formation)が注目され、ガスの圧縮やフィラメント構造が若い星々の誕生を促していることが示唆されています。何度撮っても新しい表情を見せてくれる星雲で、夏の天の川散歩には欠かせない存在です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.16 03h:25m / 総露光23分

夏の天の川を歩くー北天の散光星雲(1)(北アメリカ星雲 NGC 7000)


   夜明け前の東の空に、夏の星座が静かに姿を見せ始める季節になりました。 その幕開けを告げるように、はくちょう座の北アメリカ星雲(NGC7000)が濃い赤色をまとって浮かび上がります。この星雲は約2,000光年の彼方に広がる巨大なHII領域で、若い星々が放つ紫外線によって水素ガスが輝き、北米大陸のような特徴的な輪郭を形づくっています。Seestar S50で77分積み重ねた今回の一枚には、暗黒帯の入り組んだ構造や、淡い赤の濃淡が織りなす“初夏の空気”がしっかりと写り込みました。春の銀河とは異なる、にじむような星雲の広がり。これから本格的に始まる夏の天の川シーズンを予感させる、最初の一枚です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.13 03h:07m / 総露光77分

2026/06/11

春の赤道付近の銀河(3) -(しし座の相互作用渦巻銀河、M95とM96ー (4月9日)

 
  しし座の銀河群の中でもよく似た姿のM95(NGC 3351)と M96(NGC 3368) が同じ視野(Seestar S50画面横置)に収まっています。どちらも地球から約 3,300 万光年 前後に位置するしし座 I 銀河群(Leo I Group) の主要メンバーです。M95 は強い棒構造を持つバードスパイラル銀河(SBb)で、中心部のリング状領域で活発な星形成の存在が知られています。一方、M96 はやや非対称な渦巻構造を持ち、過去の重力相互作用の痕跡と考えられる外縁部のゆがみが特徴です。見た目は「穏やかな渦巻銀河」ですが、内部構造や進化の履歴は対照的で、同じ銀河群に属しながら個性がはっきり分かれる好例です。今回の撮影では、Seestar S50 の 5cm 口径とは思えないほど、両銀河のコアの輝きや腕の質感がよく写り、春の銀河シーズンらしい豊かな表情が捉えられています。

撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.09 01h:48m / 総露光122分

2026/06/10

春の南天銀河(9)ーM88・M91と周辺銀河ー (4月8日)

おとめ座銀河団の中心部からやや北側に位置する領域で、“銀河密集地帯” です。M88(NGC 4501) は、明瞭な渦状腕を持つ美しい渦巻銀河(Sb型)で、銀河団内で高速運動しているため外縁部のガスが剥ぎ取られつつある可能性があります。一方の M91(NGC 4548) は、中心に棒構造を持つ渦巻銀河(SBb型)で、星形成が抑制された“アナモルファス銀河”です。視野内には、NGC 4516、NGC 4571、IC 3476 など、地球から約 5000〜6000 万光年の銀河が点在しています。互いに重力的な影響を及ぼし合いながら進化しています。Seestar S50 のコンパクトな光学系でも銀河団の立体感や個々の銀河の個性が捉えられている点が印象的です。

撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.08 20h:12m / 総露光50分