
クワガタ星雲(Sh2-157)は、カシオペヤ座にあるHⅡ領域(電離水素ガス星雲)です。内部では大質量星から放射される強力な紫外線によって水素ガスが電離され赤いHα光を放っています。画像は鮮やかな赤色が際立ちます。日本では「クワガタ星雲」の愛称が定着していますが、英名では Lobster Claw Nebula(ロブスターのはさみ星雲)とも呼ばれています。今回の画像で特に印象的なのは、星雲内部を走る明暗のコントラストです。明るい部分は、高温の若い恒星が励起した電離ガスで、その間の黒い帯状構造は、濃い塵や分子雲が背後の星雲光を遮っている暗黒星雲と考えられます。これらのガスと塵は長い年月をかけて現在の複雑な姿へ変化してきました。クワガタ星雲一帯は現在も星形成活動が続いている領域です。近傍のシャボン玉星雲(NGC7635)は大質量星の恒星風によって泡のような球殻構造をしています。しかしクワガタ星雲では、不規則なフィラメント、発光領域や暗黒帯が複雑に絡み合い、同じ星形成領域でありながら異なる表情を見せています。
Seestar S50の70分積算画像を拡大してみると、広視野画像では気付かなかった微細な構造が次々と現れました。クワガタ星雲は天体写真家によって作品化されることの多い対象ですが、スマート望遠鏡でもその複雑な骨格が十分に楽しめるようです。
撮影データ:Seestar S50 / 2026.10. 15. 03:35、70分露光、自宅にて


















