2026/03/26

去り行く冬の星雲(1) ― Seestar S50で捉えたかに星雲(M1) (2月16日)

                                                                   

     冬の星座が西の空へと傾き、季節がゆっくりと移ろう気配を感じる頃、その名残を惜しむように、Seestar S50で「かに星雲(M1)」を撮影してみました。わずか40分ほどのスタッキングにもかかわらず、細かなフィラメント構造が浮かび上がり、想像以上のディテールが出現しました。小さな望遠鏡が、千年前の超新星爆発の名残をここまで描き出してくれるとは、まさに天体撮影の楽しさを再確認させてくれる一枚です。

 冬の夜空を象徴する天体のひとつ、M1も、やがて春の訪れとともに見納めの季節へ。「去り行く冬の星雲」というタイトルに込めたのは、そんな季節の変わり目に感じる、ほんの少しの寂しさと、次の季節への期待です。

 撮影条件は画像下部に記しています。2026年2月16日20時38分からSeestar S50の10秒ごとの撮像を42分間(252枚)スタックしました。


2026/03/16

球状星団M5(うしかい座)(3月15日)


   M5(へび座の球状星団)は、地球から約2万4千光年の彼方にある、10万個以上の星が詰まった古代の星の街です。その歴史はとても古く、年齢は約130億年、宇宙が誕生した直後の名残を今に伝える“生き証人”のような存在です。18世紀、ハレー彗星で有名なエドモンド・ハレーがこの星団を発見した際、彼は「ぼんやりした光のしみ」としか記録できませんでした。しかし現代の機材では、その“しみ”が宝石を散りばめたような球状の星の群れであることがはっきりと分かります。
  さらに、今回の写真には偶然の流星が写り込んでいます(左隅の黄色矢印)。130億年の星々と、ほんの一瞬で消える流星が同じフレームに収まるというのは、まさに天体写真ならではの“宇宙の偶然”ですね。

2026/03/09

春の南天銀河(3)- ソンブレロ銀河(Sombrero Galaxy)(M104, NGC4594)- (2月21日)

  南天のおとめ座に位置するソンブレロ銀河(M104)を撮影しました。地球からの距離は約 3000万光年、見かけの大きさは 約 8.7′ × 3.5′ と細長く、明るさは 9等級前後です。非常に明るい中心核と、銀河円盤を横切る太いダストレーンが特徴です。エッジオン(真横)に近い角度で見えているため、その形からメキシコのつば広帽子「ソンブレロ」にたとえられます。春の銀河の中でも表面輝度が高く、小口径でも撮影しやすい天体として知られています。撮影情報は画像下側に記載あり。

2026/03/08

春の南天銀河(2)- 紡錘状銀河(Needle Galaxy)(NGC4565)- (2月21日)

           

     春の星座・かみのけ座に横たわるNGC4565は、鋭い針のように見えることから「ニードル銀河」と呼ばれる代表的なエッジオン銀河です。私たちの視線に対して真横を向いているため、中央の明るいバルジと細く伸びる円盤が際立ち、立体的な存在感を見せてくれます。小口径でも写りが良く、春の銀河撮影では必ず押さえておきたい名対象です。


春の北天銀河(8)- 銀の針 (Silver Needle) 銀河(NGC4244)- (2月20日)

                                                                                                 

   NGC4244はりょうけん座の系外銀河で、銀河を横から見たエッジオンタイプです。エッジオン銀河として広く知られているかみのけ座のNGC4565銀河(次の項で紹介)に比べると、1) 銀河中心部のふくらみが小さく、銀河全体が細長い、2) 銀河を縦に走る暗黒帯は明瞭ではなく、全体的に白く細長い針のようにみえる、3)視直径はNGC4565とほぼ同じく、長辺側が16分と比較的大きい、 4) 見かけは、NGC4565に比べて暗い(~10.5等級)、などです。Silver Needleと呼ばれる形を確認するには大口径望遠鏡と透明度の高い夜空が必要のようです。撮影情報は本画像の下側に記載。

2026/03/07

春の北天銀河(7)- 小回転花火銀河(NGC3184)- (2月15日)

    小回転花火銀河 NGC3184 を自宅の庭から Seestar S50 で撮影しました。
等級は 10.4 等と数字だけ見ればそこまで暗くないのですが、実際には非常に淡い天体で、30〜40cm クラスの望遠鏡でも“ぼんやりとした円形”にしか見えない難対象です。そのため小口径の Seestar S50では撮影は心許ないと思っていたのですが、87 分の長時間スタックに少しばかり画像処理を加えることにより、想像以上に立派な渦状腕が浮かび上がりました。

NGC3184 は M101(回転花火銀河)より小ぶりながら典型的なフェイスオン銀河で、腕の広がりや星形成領域の輝きがとても美しい銀河です。淡い外周部まで写り、光害地の自宅での撮影とは思えない仕上がりになりました。「小口径でも、丁寧に積み重ねればここまで写る」そんな天体写真の醍醐味を改めて感じさせてくれる一枚です。撮影情報は画像下側に掲載。

春の南天銀河(1)-しし座のトリオ銀河(M65・M66・NGC3628)- (2月14日)

    

    しし座のトリオ銀河(M65・M66・NGC3628)を自宅庭から Seestar S50 で撮影しました。光害のある環境での撮影とは思えないほどそれぞれの銀河が個性を見せてくれました。

中央上の NGC3628(ハンバーガー銀河) は特徴的なダストレーンがしっかり写り、エッジオン銀河らしい迫力があります。一方、下側の M65 と M66 は同じ渦巻銀河ながら表情が異なり、腕の巻き方や明るさの分布の違いがよく分かります。今回は仕上げに軽くウェーブレット処理を加えていますが「小口径+自宅の空」でもここまで撮れるのか と改めて Seestar S50 の実力を感じました。撮影条件は画像下側に記載。