2026/07/20

春の北天銀河(38)ー 北天の棒渦巻銀河 NGC 7479(C44)ー

                                                                                           
     Seestar S50で40分露光して捉えたのは、ペガサス座の棒渦巻銀河 NGC 7479(C44)。その独特の形状から「プロペラ銀河」とも呼ばれています。地球から約 1.3億光年 の距離にあり、中心部には強い電波を放つ活動銀河核(AGN)が存在します。銀河のバー構造は片側が長く伸び、もう片側が巻き込むように湾曲しており、これは過去の銀河同士の相互作用が原因と考えられています。 今回の撮影では、淡い腕の広がりと周囲の星野がよく写りプロペラ状の非対称構造確認できます。撮影データSeestar S50 / 岐阜市 / 2026.06.13 03:58 / 総露光40分

2026/07/16

春の北天銀河(14再撮影)ー色彩豊かな中心部と淡い周辺部から成るM106銀河ー(6月1日)

        

りょうけん座の渦巻銀河 M106(NGC 4258) を Seestar S50 で撮影しました。地球から約 2,300 万光年の距離にあり、中心部には強い電波を放つ 活動銀河核(AGN) が存在します。そのため核周辺は色彩豊かで明るく輝き、独特の「異常腕(anomalous arms)」と呼ばれる構造が見られることでも知られています。一方で、銀河外縁の淡い腕は非常に光度が低く、長時間露光を重ねても浮かび上がらせるのが難しい領域です。今回の撮影でも、中心部の力強い輝きと対照的に、周辺部は繊細な階調が求められる挑戦的な対象でした。5月4日に掲載した画像(3月15日撮影)の方が外周の写りはよいようです。見比べてみてください。なお、南側に見えているNGC 4248 は、りょうけん座に位置する小型の不規則銀河で、視野上は 近いですが、最新の距離測定では M106 とは別の距離にある銀河とされています。

撮影データ:M106 / 149min / Seestar S50 / 2026.06.01 01:42

夏の天の川散歩ー北天の散光星雲(6)暗黒帯に浮かぶ、はくちょう座のまゆ星雲(ICIC 5146)

はくちょう座の暗黒帯に浮かぶ「まゆ星雲(IC 5146)」を Seestar S50 で撮影しました。約 4,000 光年の彼方に位置し、中心には誕生したばかりの若い星が潜んでいます。周囲を取り巻く赤い輝きは、水素ガスが高エネルギー光で励起されることで生じる Hα(輝線) の発光です。この領域の魅力は、星雲の背後に広がる暗黒星雲(バーナード列)が複雑に入り組み、星々の光を遮りながら立体的な陰影を作り出す点にあります。星形成が進む分子雲と、輝く星雲、そして密集した星野が一枚に収まり、まさに「銀河の織物」と呼びたくなる景観です。撮影データSeestar S50 / 岐阜市 / 2026.06.01 03:03 / 総露光58分

2026/07/14

春の北天銀河(37)ー 北天に潜む“片目”の渦巻銀河、M64(黒目銀河)ー

 

 M64はかみのけ座に位置する距離約 1700万光年 の渦巻銀河で、中心部を横切る濃い暗黒帯が“黒目”のように見えることから「黒目銀河」として知られています。核の周囲のこの暗黒帯は、銀河内部のガス運動が内側と外側で逆回転しているという特異な力学構造と関係していると考えられています。外側の円盤は淡く広がり、内側の高密度領域との対比が強いため短い露光でも“黒目”が印象的に写ります。北天の銀河シリーズの中でも、M64は形態の分かりやすさと科学的個性が両立した代表格と言える存在です。撮影データSeestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.30、22h :03m / 総露光18分

2026/07/13

春の北天銀河(36)ー ゆるやかな棒状構造をもつ淡い渦巻銀河 (NGC 3319 )ー

 りゅう座は周極星座で日本からはいつでも見える北天の星座です。NGC 3319銀河は、りゅう座の距離4700万光年かなたに位置する棒渦巻銀河(SBc型です。中心部には細長いバー構造が伸び、その両端からゆるやかに巻き始める腕が特徴的です。腕は非常に淡く銀河全体が柔らかくほどけたような姿を見せています。アマチュアの撮影では、淡い腕をどこまで描き出せるかが腕の見せどころ。今回の撮影では、バーの存在感と周囲の星々の中に浮かぶこの銀河の独特の形がよく表れており、NGC3319らしい「控えめだが味わい深い」姿が捉えられています。撮影データSeestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.30、02h :03m / 総露光83分


2026/07/12

春の北天銀河(35)ーNGC 3189 を中心とした小規模銀河群 HCG44 ー (5月29日)

                                                                                          

NGC3189(別名NGC3190)を中心に広がるこの領域は、Hickson Compact Group 44(HCG44)という小規模銀河群で、8,000万光年 の距離にあり、重力的に影響し合う銀河が密集する興味深い領域です。画像には、NGC3185(棒渦巻銀河)・NGC3187(強くねじれた渦巻構造)・NGC3193(楕円銀河)が同一視野に収まり、形態の違いが一目で分かります。小型望遠鏡でもこれだけの構造が捉えられるのは、長時間露光の積み重ねによる成果で、銀河群の個性が美しく浮かび上がりました。撮影データSeestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.29、22h :53m / 総露光113分

2026/07/09

春の北天銀河(34)M90とIC3583:近接して見えていても実は離れていて、性質の異なる銀河ペア (5月19日)

今回の画像は、うしかい座のM90(NGC 4569)とすぐ北側に位置するIC 3583です。両者は見かけ上近接していますが実際には離れていて、物理的な相互作用は確定していません。むしろ、性質の違いが際立つ興味深い組み合わせです。

M90は、距離約 5,500万光年スピンドル状の美しい渦巻銀河IC 3583は、距離は約 3,000万光年前後で、M90とは距離が一致していない小型不規則銀河で、見かけ上はペアのように並ぶものの、実際には異なる距離にあり、進化の背景もまったく異なる銀河同士という点が、この組み合わせの最大の見どころです。Seestar S50による61分露光で、M90の淡い外縁部とIC 3583の不規則な姿が捉えられています。撮影データSeestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.19、21h :30m / 総露光61分

2026/07/08

春の南天銀河(11)ーおとめ座の「速度異常を示す特異な銀河」M98 (NGC4192) ー (5月20日)


M98は、おとめ座銀河団の一員で 距離約4,400万光年、分類は SA(s)ab:棒構造を持たない中間型渦巻銀河です。視直径は約 9.8′ × 2.8′ と細長く、地球からはほぼ エッジオン(側面) で見えるため中心部の暗黒帯が強調され引き締まった印象です。最大の特徴として、銀河団内で異常に大きな固有速度(約−1,400 km/s)を示します。重力場で高速移動するため周囲のガスと相互作用するとされ、「ダイナミックな環境にある銀河」として研究されています。中心部には明るいバルジがあり外側に渦状構造が淡く広がります。今回のSeestar S50による60分露光では、M98特有の細長い形状と中心部の輝きがよく捉えられています。

M98の南側に位置する NGC 4186 は、距離約 5,000万光年前後 の渦巻銀河で視直径は 約2′ と小さ目です。分類は SAB(s)c の「小型スパイラル銀河」に属します。おとめ座銀河団の周縁部に位置しており、M98と同じく銀河団の重力場の影響を受けている可能性が高い天体です。

撮影データSeestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.20、00h:42m / 総露光60分

2026/07/07

夏の天の川散歩 ー南天の散光星雲(4再)干潟星雲(M8)と三裂星雲(M20)ー(5月19日)

夏の天の川を代表する二大星雲、M8(干潟星雲)M20(三裂星雲)を同一視野で収めた一枚です。どちらも射手座方向の大規模な星形成領域で、若い高温星が周囲のガスを強く照らし出しています。M8(干潟星雲) 約4,100光年の距離にある巨大なHII領域で、中央の明るい星団(NGC 6530)が星雲全体を輝かせています。複雑なガスの濃淡と広がりが圧倒的で、夏の代表的な撮影対象です。M20(三裂星雲) 赤い発光星雲と青い反射星雲が同居し、暗黒帯が三方向に伸びる独特の構造が特徴です。色彩の対比が美しく、干潟星雲との並びはまさに「夏の名コンビ」といえます。

Seestar S50による撮影でも両者の個性がしっかり表現され、天の川中心部の豊かな星々とともに、夏の空の迫力を感させる仕上がりになりました。

撮影データSeestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.19、03h:32m / 総露光49分



夏の天の川散歩ー北天の散光星雲(5)はくちょう座のHII領域複合体を形成する小さな星雲、IC5068 ー(5月19日)

IC 5068は、はくちょう座の大規模なHII領域複合体の一部で、ペリカン星雲(IC 5070)に隣接する小さな散光星雲です。電離水素が放つHα光が主体で、淡い赤色のフィラメント状構造が広がり、星形成領域の外縁部らしい複雑な輝度変化を特徴としています。距離は約2,000光年、北アメリカ星雲・ペリカン星雲と同じ巨大分子雲の一角を成しています。単独では目立たない存在ですが、星形成を進める巨大雲の「境界面」を示す重要な領域であり、周囲の高温星からの紫外線によってガスがゆっくりと彫刻されていく過程を観察できる点に科学的価値があります。撮影データSeestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.19、02h:06m / 総露光62分