2026/07/12

春の北天銀河(35)ーNGC 3189 を中心とした小規模銀河群 HCG44 ー (5月29日)

                                                                                          

NGC3189(別名NGC3190)を中心に広がるこの領域は、Hickson Compact Group 44(HCG44)という小規模銀河群で、約 8,000万光年 の距離にあり、重力的に影響し合う銀河が密集する興味深い領域です。画像には、NGC3185(棒渦巻銀河)・NGC3187(強くねじれた渦巻構造)・NGC3193(楕円銀河)が同一視野に収まり、形態の違いが一目で分かります。小型望遠鏡でもこれだけの構造が捉えられるのは、長時間露光の積み重ねによる成果で、銀河群の個性が美しく浮かび上がりました。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.29、22h :53m / 総露光113分

2026/07/09

春の北天銀河(34)M90とIC3583:近接して見えていても実は離れていて、性質の異なる銀河ペア (5月19日)

今回の画像は、うしかい座のM90(NGC 4569)とすぐ北側に位置するIC 3583です。両者は見かけ上近接していますが実際には離れていて、物理的な相互作用は確定していません。むしろ、性質の違いが際立つ興味深い組み合わせです。

M90は、距離約 5,500万光年、スピンドル状の美しい渦巻銀河。IC 3583は、距離は約 3,000万光年前後で、M90とは距離が一致していない小型不規則銀河で、見かけ上はペアのように並ぶものの、実際には異なる距離にあり、進化の背景もまったく異なる銀河同士という点が、この組み合わせの最大の見どころです。Seestar S50による61分露光で、M90の淡い外縁部とIC 3583の不規則な姿が捉えられています。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.19、21h :30m / 総露光61分

2026/07/08

春の南天銀河(11)ーおとめ座の「速度異常を示す特異な銀河」M98 (NGC4192) ー (5月20日)


M98は、おとめ座銀河団の一員で 距離約4,400万光年、分類は SA(s)ab:棒構造を持たない中間型渦巻銀河です。視直径は約 9.8′ × 2.8′ と細長く、地球からはほぼ エッジオン(側面) で見えるため中心部の暗黒帯が強調され引き締まった印象です。最大の特徴として、銀河団内で異常に大きな固有速度(約−1,400 km/s)を示します。重力場で高速移動するため周囲のガスと相互作用するとされ、「ダイナミックな環境にある銀河」として研究されています。中心部には明るいバルジがあり外側に渦状構造が淡く広がります。今回のSeestar S50による60分露光では、M98特有の細長い形状と中心部の輝きがよく捉えられています。

M98の南側に位置する NGC 4186 は、距離約 5,000万光年前後 の渦巻銀河で視直径は 約2′ と小さ目です。分類は SAB(s)c の「小型スパイラル銀河」に属します。おとめ座銀河団の周縁部に位置しており、M98と同じく銀河団の重力場の影響を受けている可能性が高い天体です。

撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.20、00h:42m / 総露光60分

2026/07/07

夏の天の川散歩 ー南天の散光星雲(4再)干潟星雲(M8)と三裂星雲(M20)ー(5月19日)

夏の天の川を代表する二大星雲、M8(干潟星雲)とM20(三裂星雲)を同一視野で収めた一枚です。どちらも射手座方向の大規模な星形成領域で、若い高温星が周囲のガスを強く照らし出しています。M8(干潟星雲) 約4,100光年の距離にある巨大なHII領域で、中央の明るい星団(NGC 6530)が星雲全体を輝かせています。複雑なガスの濃淡と広がりが圧倒的で、夏の代表的な撮影対象です。M20(三裂星雲) 赤い発光星雲と青い反射星雲が同居し、暗黒帯が三方向に伸びる独特の構造が特徴です。色彩の対比が美しく、干潟星雲との並びはまさに「夏の名コンビ」といえます。

Seestar S50による撮影でも両者の個性がしっかり表現され、天の川中心部の豊かな星々とともに、夏の空の迫力を感させる仕上がりになりました。

撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.19、03h:32m / 総露光49分



夏の天の川散歩ー北天の散光星雲(5)はくちょう座のHII領域複合体を形成する小さな星雲、IC5068 ー(5月19日)

IC 5068は、はくちょう座の大規模なHII領域複合体の一部で、ペリカン星雲(IC 5070)に隣接する小さな散光星雲です。電離水素が放つHα光が主体で、淡い赤色のフィラメント状構造が広がり、星形成領域の外縁部らしい複雑な輝度変化を特徴としています。距離は約2,000光年、北アメリカ星雲・ペリカン星雲と同じ巨大分子雲の一角を成しています。単独では目立たない存在ですが、星形成を進める巨大雲の「境界面」を示す重要な領域であり、周囲の高温星からの紫外線によってガスがゆっくりと彫刻されていく過程を観察できる点に科学的価値があります。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.19、02h:06m / 総露光62分
 

夏の天の川散歩 ー北天の散光星雲(5)— 明るく広がる超新星残骸の網状星雲東側(NGC 6962)ー(5月18日)

                                                                                           

 はくちょう座に広がる網状星雲の東側部分、NGC 6992は、約1万〜2万年前に起きた超新星爆発の衝撃波が星間ガスを美しく照らし出す領域です。西側(NGC 6960)よりも明るく、細かなフィラメント構造が密集しているため、レースのような複雑な模様が際立ちます。科学的には、酸素(O III)の青緑色成分と水素(Hα)の赤い輝きが入り混じり、衝撃波がガスを電離しながら進む様子です。視直径は約30光年ほどもあり、超新星残骸のダイナミックな広がりを実感できる領域です。
撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.18、04h:33m / 総露光45分

2026/07/06

春の北天銀河(4 再掲載) ー同一視野で楽しむ星雲と銀河の対照的な姿ーふくろう星雲(M97)と 葉巻星雲 (棒渦巻銀河 M108)ー(5月17日)

                                              

今回の画像は、ふくろう星雲として知られる惑星状星雲 M97 と、棒渦巻銀河 M108 を同一視野で捉えた人気のツーショットで、2月16日にも同様な画像を掲載しています。わずか50mm口径のSeestar S50でも両者がしっかり写るのは驚きで、拡大画像ではそれぞれの特徴がより明瞭に確認できます。片方は天の川銀河内の近傍天体、もう片方は数千万光年彼方の巨大銀河というスケール差が際立ち、天体写真ならではの醍醐味を感じさせる組み合わせです。

M97(惑星状星雲) 地球から約2,000光年。中心星の放出したガスが球状に広がり、淡い青色の光が印象的です。内部の濃淡構造が「ふくろうの目」に見えることからこの愛称が付いています。

M108(棒渦巻銀河) 約4,500万光年の距離にある銀河で、正面ではなく横から見た形のため、細長い銀河円盤と不規則な暗黒帯がよく目立ちます。中心部の輝度が高く、周囲の淡い外縁部まで写ると立体感が出ます。

夏の天の川散歩 ー北天の散光星雲(4)アイリス星雲(C4, NGC 7023)ー(5月18日)

青い光が印象的なアイリス星雲(C4, NGC 7023)は、約1,300光年彼方のケフェウス座に位置する代表的な反射星雲です。中心にある若い星 HD 200775 の光を周囲の微細な塵が散乱することで、花いはなびらのような青い輝きが生まれています。星雲を包む暗黒雲は複雑な構造を持ち、星形成が進む領域としても研究対象になっていますが、煩瑣星雲は今回の撮像ではあまりはっきりしません。強く処理すれば見えないことはないのですが、像が荒れます。Seestar S50の光学性能(口径50mm, 焦点距離250mm)の限界とも言えますが、露出時間(スタック数)の延長、透明度の高い空での撮影、などチャレンジして像の改善を目指したいと思います。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.18、01h:18m / 総露光76分


北天で最も迫力ある球状星団 -M13-(5月13日)

M13球状星団は、約2万5千光年の距離にあり、直径は約150光年、数十万個もの古い恒星がぎっしりと詰まっています。年齢は120億年以上とされ、銀河系形成初期の姿を今に伝える“化石的天体”です。球状星団の画像処理で難しいのは、中心部の強烈な輝きと外側の淡い星々のバランスですが、今回のM13は7分露光ながら密集したコアの輝きと周辺の星の広がりがよく分かる写りになりました。特に中心部の粒状感がしっかり出ており、Seestar S50でも球状星団の立体的な構造が十分に楽しめることを示す好例だと思います。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.13, 23h:14m / 総露光7分

 

M81の静、M82の動──Seestar S50で描き分ける銀河の個性(5月10日)

                     

今回、Seestar S50で同一視野に収めたM81とM82を、それぞれに適した画像処理で仕上げてみました。両者とも赤成分が弱く、特にM82の中心から吹き上がるジェット状アウトフローは迫力が控えめですが、銀河の性質の違いは十分に感じられます。M81は、距離約1200万光年、典型的な大型渦巻銀河で、明るい核と整った腕の構造が安定して写り、長時間露光の効果が素直に出ます。一方のM82は「スターバースト銀河」として知られ、激しい星形成が進む不規則形の銀河です。赤いアウトフローは弱めながらも、細長い本体の質感や中心部の微細構造は表現できているかと思います。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.10, 21h:34m (M82)、22h:38 (M81) / 総露光70分 (M82)、115分 (M81)


2026/07/05

春の北天銀河(34)ー北天の花火銀河(C12/NGC 6946)ー(5月17日)

  NGC 6946(C12、花火銀河)は、はくちょう座とケフェウス座の境界付近に位置する距離約2200万光年のフェイスオン銀河で、星形成が非常に活発なことで知られています。過去100年ほどの間に10個近い超新星が観測され、「花火」の名の由来となっています。渦巻腕は比較的ゆるやかで、淡いながらも複数の腕が重なり合うように広がっています。今回の画像では、主要な渦巻構造がはっきりと捉えられ、夏の天の川の星々の中に浮かぶ遠方銀河の存在感が際立っています。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.17, 03h:51m / 総露光57分

夏の天の川散歩 ー北天の散光星雲(3)網状星雲(NGC6960)ー(5月15日)

NGC6960(西側・魔女のほうき星雲)は、はくちょう座に広がる巨大な超新星残骸「網状星雲」の一部で、約1万〜2万年前に爆発した大質量星の衝撃波が電離ガスを美しいフィラメント状に描き出しています。距離はおよそ2400光年。酸素(OIII)の青緑、そして水素(Hα)の赤が織り成す色彩は、夏の天の川の中でもひときわ印象的です。中央の明るい星52 Cygniが構図のアクセントとなり、衝撃波のカーブを際立たせます。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.15, 03h:33m / 総露光51分

2026/07/04

夏の天の川散歩 ー南天の散光星雲(4)三裂星雲(M20)— 赤と青が織りなす“二重構造”の美ー(5月11日)

M20(三裂星雲)— 赤と青が織りなす“二重構造”の美

赤い散光部と青い反射部が鮮明に分かれ、三裂構造を形づくる暗黒帯もよく写り込みました。青成分は小口径では難しい対象ですが、Seestar S50による今回の撮影では期待に近い色調が得られ、星雲の立体感が際立っています。M20は約5,000光年先、いて座の銀河系中心方向に位置し、星形成の盛んな領域です。中央の若い大質量星が周囲のガスを強く照らし、赤い電離ガス(Hα)と青い反射星雲が接する構造を持つ美しい星雲です。小型スマート望遠鏡での作例ですが、M20の魅力を素直に伝えてくれる仕上がりです。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.11, 02h:48m / 総露光70分

 

2026/07/03

夏の天の川散歩 ー南天の散光星雲(3)わし星雲(M16)ー(5月14日)

     今回のM16は、66分露光とは思えないほど中心部の微細構造がよく写り、特に「創造の柱」と呼ばれる暗黒星間物質の柱状構造が印象的です。M16は約7,000光年彼方、へび座に位置する大規模な星形成領域で、若い高温星が放つ強い紫外線によって周囲の水素ガスが輝いています。ハッブル宇宙望遠鏡による観測で一躍有名になった天体ですが、小口径でもここまで立体感のある描写が得られるのは興味深い点です。春から初夏にかけて観望好期を迎え、天文イベントでも取り上げられる機会の多い天体です。

撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.14, 03h:17m / 総露光66分

夏の天の川散歩 ー南天の散光星雲(2)オメガ星雲(M17)ー(5月14日)

                                                                            

M17(オメガ星雲/白鳥星雲)は、いて座に広がる代表的な散光星雲で、地球から約5,000〜6,000光年の距離に位置する巨大な星形成領域です。今回のSeestar S50による101分露光では、Hαを中心とした輝線が見事に捉えられ、雲状構造の複雑な濃淡や、若い星々が周囲のガスを照らし出す様子が細部まで浮かび上がりました。中心部の明るい“くちばし”状の形は、強烈な紫外線を放つO型星団によって彫刻されたガスの壁で、M17の象徴的な姿です。M17は夏の天の川を彩る人気対象で、毎年この季節になると世界中の観測者が撮影を楽しむ恒例イベントのような存在です。今回の画像は、コンパクトな機材ながら星雲内部の微細構造まで写り込んでおり、夏の星雲撮影の醍醐味が詰まった一枚と言えます。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.14 01h:49m / 総露光101分

2026/07/02

クジラ銀河(NGC 4631)拡大像 ― 透明度の良い夜が描き出した微細構造

4月21日に撮影したクジラ星雲を6月25日に掲載したばかりですが、今回アップする5月9日のクジラ銀河は、同じSeestar S50による撮影とは思えないほど微細構造がよく写りました。この夜は透明度が高かったのか、シーイングが良かったのか、銀河の縁のささくれたような質感や、中心部の濃淡の変化がはっきりと浮かび上がっています。特に、銀河の外縁に沿って伸びる淡い光の筋や、内部の青白い星形成域のざらつきは、拡大してこそ分かる見応えのあるディテールです。同じ対象でも条件次第でここまで表情が変わることを改めて実感させられる一枚となりました。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.10, 00h:19m / 総露光86分

2026/07/01

夏の天の川散歩 ー南天の散光星雲(1)干潟星雲(M8)と猫の手星雲ー(5月10日)


散光星雲 M8(干潟星雲)を、Seestar S50で55分露光しました。視野いっぱいに広がる赤い輝きは電離した水素ガスの発光で、星形成が現在も進行している領域です。中心部の明るいHII領域と複雑な暗黒帯が織りなす造形は、何度見ても圧倒的な迫力があります。ただし、M8は日本から見ると南中高度が低く、撮影が限られる難物でもあります。透明度の良い夜でないと細部の構造を捉えることができません。また、M8の東側には「猫の手星雲」と呼ばれる領域が連なっており、淡いガスの広がりがまるで猫の前足のように見えることからその名が付いたと言われています。干潟星雲と猫の手星雲は、夏の天の川を代表する見応えある対象です。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.05.10 02h:40m / 総露光55分

2026/06/25

春の北天銀河(33)ークジラ銀河(NGC4631)」とホッケースティック銀河(NGC4656)ー(4月21日)

銀河内部では活発な星形成が続いています。りょうけん座の方向、約3000万光年のかなたに位置するNGC 4631(クジラ銀河)は、真横から見た姿がクジラのように見えることで知られています。銀河内部では活発な星形成がつづいています。そのすぐ南に伸びる NGC 4656(ホッケースティック銀河) は、重力相互作用で形が大きく歪んだ不規則銀河で、先端が曲がった“スティック”のような独特の姿が特徴です。近傍の伴銀河 NGC 4657 との相互作用が形状の乱れを生み、銀河内では局所的な星形成が活発化していることが知られています。今回のように 同一視野で両者を収めると、銀河同士が互いに影響し合いながら進化していく様子が一望できるのが大きな魅力です。Seestar S50 の長時間露光により、クジラ銀河の細かな濃淡や、スティック銀河の曲がった外縁部までしっかり写し出されています。 撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.21 23時29分 / 総露光54分

2026/06/22

夏の天の川散歩 ー北天の散光星雲(3)クレセント星雲(NGC6888)ー(4月22日)

                                                                             

夜半には夏の星座が天頂にかかる季節となりました。その空を彩るはくちょう座の中で、ひときわ印象的なのがクレセント星雲(NGC 6888)です。この星雲は、中心にあるウォルフ=ライエ星 WR136が、過去に放出したガスの殻を強烈な恒星風で吹き飛ばし、衝撃波によって輝いている“宇宙の風船殻”のような天体です。地球からの距離は約5,000光年。赤く光る水素ガスと、衝撃波で励起された酸素の淡い輝きが重なり、独特の三日月形を形づくっています。夏の天の川の中に浮かぶこの星雲は、“初夏の使者”のようにも感じられます。撮影データ:Seestar S50 / 岐阜市 / 2026.04.22 03時27分 / 総露光121分


2026/06/19

初夏の風が運んでくる季節の香り ー月、金、木、水星が、西の空に一直線ー(6月19日)

                                                                                        

初夏の夕暮れ、西の空にそっと一本の光の道が伸びていました。

細い月、そのすぐ下に金星、さらに木星、そして地平線近くの水星。太陽の余韻が残る薄明の空に、四つの光が静かに並ぶ姿は、まるで季節の境目にだけ現れる“空の詩”のようです。

天文学的には、黄道に沿って惑星が並ぶごく自然な配置。けれど、これほど整った直線に月まで加わるのは、数年に一度あるかどうかのほんの短い奇跡。 金星の −4 等級の輝き、木星の堂々たる存在感、そして水星が見える透明度の高い空がそろってこそ生まれる光景です。

撮影データ:キャノンEOS6D、タムロン28-300mm望遠レンズ(50mmで使用)、ISO200、露出0.3秒、2026年6月18日 20時04分。自宅前の道路にて。