ページ閲覧数

2018年5月29日火曜日

天の川と分子雲(5月11日)

天の川では星屑に埋もれて分子雲は特定が難しくなりますが、非常に多いと考えられます。1)M16、M17あたりの画像は4月29日に掲載していますが、今回はコンポ枚数を増やし、Nik Collection処理を強くして分子雲を強調してみました。さらに、2)青赤黄色のカラフルな分子雲が人気を集めているアンタレス付近を狙ってみました。しかし南の低空になるのでどうしても光害が強く、空の暗い場所でも結構難物です。しらびそ高原での撮影がベストなのですが、今回、うすずみ温泉でチャレンジしてみました。
 1) M16とM17 2018年5月11日2時30分~。うすずみ温泉四季菜館駐車場にて。FS60CB (主焦点f350mm), 
HKIR換装 EOS6Dカメラ, ISO3200, 露出1分 x 8枚 Rawコンポ。Nik Collection, Color Effex Pro4処理 (ディテール強調50%)。M16(左)M17(右)。

2) アンタレス付近 2018年5月11日2時56分~。x 8枚コンポ。撮影その他の条件は上に同じ。中央の赤っぽい星がアンタレス、その右側は球状星団M4。
残念ながら思ったような色彩は出せませんでした。今後もチャレンジします。

2018年5月28日月曜日

かみのけ座銀河団と分子雲(5月10日)

 かみのけ座、おとめ座としし座は系外銀河の宝庫です。春の天体写真撮影の最大の楽しみと言ってよいでしょう。今回は、かみの座のマラカリアン銀河鎖の南側を撮影してみました。このあたりはどこを向けてもたくさんの系外銀河が写ってくれますが、今回は系外銀河だけでなく、それよりずっと淡い反射星雲(分子雲)も狙ってみることにしました。銀河系内星間物質(化学物質)が近くの恒星の光を反射した淡い光ですので撮影には困難が予想されます。そこで、空の透明度、露出時間、コンポジットの枚数などに配慮しました。その結果、画像の中央部に反射星雲と思われる淡い小さな星雲が写りました。分子雲の拡大画像と、星雲番号を記入した画像を下に示します。
2018年5月10日22時30分から撮影した8枚をコンポジット。タカハシFS60CB(主焦点350mm)にHKIR換装したEOS6Dで直接焦点撮影。ISO3200, 露出3分。Sky Watcher EQ3赤道儀をQHYCCDカメラ/PHD2でオートガイディング

 

2018年5月23日水曜日

月面のX・V文字(5月22日)

昨夜(5月22日夕刻)月面にX文字、V文字が現れました。上弦の頃の限られた時間に見えることが知られています。天候も考慮すると年に2,3回は見るチャンスがあるようです。直近では昨年の1月7日、5月7の画像を本ブログで紹介しています。拡大してみると、X文字はプールバッハ(まだ陰の中)とあと二つの隣接クレーターの山稜がちょうど日に照らされてX文字に見えるようです。1時間半後にはクレーター底が日に照らされて明瞭なX文字感は失われていました。X文字は比較的短時間の出来事のようです。V文字は有名なヒギヌス谷に隣接していて、二つ並んでVVにも見えます。
左:Orion社VX12反射望遠鏡(D30cm, f120cm)にZWO社ASI174MMカメラ直接焦点像。15秒間の動画(1000フレーム)をスタック、ウエブレット処理。2018年5月22日18時49分。3枚モザイク画像。X,Vを黄色丸で囲んだ。右上:上記撮影システムを5xバーロレンズで拡大。IR760パスフィルターを使用。18時20分撮影。右下:19時17分撮影。いずれも自宅にて。

2018年5月18日金曜日

木星(5月15日)

 比較的シーイングが良かった夜の木星です。できればもうワンランク上の好シーイングを望みたいのですがそれはシーズン中に一回か二回あるかないかの幸運に巡り合うことです。めげずに見続けることが重要なようです。
 
Orion VX12sニュートン式反射、5x バロー、色分散補正プリズムを使用。ASI 224MCカメラで90秒間動画撮影(7,678フレーム, FPS=85)。スタック、ウエブレット処理。上:2018年5月15日23時47分、下:16日00時18分。

2018年5月12日土曜日

昨夜の木星(5月11日)

 昨夜(5月11日)の木星のベストショットです。大きな模様は写っているのですが解像度は今一つです。回転補正をかけてコンポジットすれば少し改善するかもしれません。解像度が低い理由は、技術的な問題かシーイングの問題か。今回は両方が原因と思われますが、シーイングが悪くてもそこそこの解像度を引き出す技術が望まれるところです。
Orion VX12(30cmニュートン反射, f120cm)に x5バローレンズ、ASI224MCカメラ。露出90秒、フレーム3800枚のスタック、ウエブレット処理。2018年5月11日23時01分。
FireCaptureでの撮影条件:Shutter 11,1mm, Gain=316(53%), Gamma=30, FPS=42

2018年5月11日金曜日

しらびそ高原のディープスカイ(4月20、21日)

遅くなりましたが4月20日、21日に遠征したしらびそ高原で撮った画像です。すでにFS60CBなどで撮影したものは掲載しましたが、ここではFC100DL(主焦点90cm)による画像を紹介します。しらびそ高原のいつもの撮影場所は土や石ころで覆われています。そのまま赤道儀を設置すると脚の先がめり込んだりして極軸が狂う可能性があります。アスファルトで舗装された駐車場などではこの問題は起きないでしょう。それに慣れてしまっていました。これまでも小さなトラブルはあったのでしょうが今回は影響が大きく、結果としてガイドミスで撮影枚数を稼げませんでした。今後は対策をしっかりやります。

1.北天の系外星雲
 春の定番、M81, M82, M63とM101です。2から7枚をコンポジットし、Nik CollectionのCEPro4で軽く処理。なぜそうなるのかわからないのですが、ステライメージ8でRaw画像を自動でコンポジット処理するとなぜか平板な画像(コントラストの強い白とびの)になってしまいます。そこでこれまで通り個々のRaw画像を現像してTIFで保存したものをステライメージ6でコンポジット処理し、その後画像処理を行いました。
いずれもタカハシFC-100DLの主焦点(D10cm, f90cm)画像。キャノンEOS6D(Seo-IR換装)にて露出5分、ISO3200。画像サイズの相対差は維持。QHYカメラを使ったPHD2オートガイド。M81+82: 2018年4月21日01時41分からの4枚をコンポジット、M63: 4月21日00時59分からの7枚をコンポジット。M101: 4月20日21時05分からの6枚コンポ。

2.M8とM20 
      いずれも夏の南天の天の川の中で最も目立つ星雲です。
  撮影方法は上に同じ。M8: 2018年4月21日02時12分からの3枚をコンポジット、M20: 4月21日02時48分からの2枚をコンポジット。

3.彼岸花星雲(NGC6357)と出目金星雲(NGC6334)
   さそり座のシッポあたり、夏の天の川の最南部に位置する二つの星雲は、しらびそ高原なら比較的容易に撮影できます。
撮影方法は上に同じ。彼岸花星雲(NGC6357): 2018年4月21日03時50分からの2枚をコンポジット、出目金星雲(NGC6334): 4月21日03時11分からの4枚をコンポジット。

2018年5月7日月曜日

湿りの海の夜明け (2月26日)(星ナビ6月号入選)

 湿りの海のしわ模様と形のよい小クレーターが印象的です。また、ガッサンディ―と半埋没クレーターのドッペルマイヤーがおもしろい南北対比を醸し出しています。なおこの画像は星ナビ2018年6月号の星ナビギャラリーに入選しました。
湿りの海を南北に分けて撮影しImage Composite Editor (ICE)でモザイク合成。英オライオン社 VX12(D30cm, f120cm) + テレビュー社パワーメイト 5x (合成6000mm, F20)。 IR720パスフィルター。ZWO社 ASI224MC。 動画撮影した約2700フレームをAutostakkert!2でスタッキング後、RegiStax6でウエブレット処理、Photoshop CCで調整。2018年2月26日 19時57分から60秒間の動画撮影(約2700フレーム)。

フンボルト(3月2日)(天文ガイド6月号入選)

 3月2日は秤動で東端が見やすくなっている時期の満月です。そこで満月を過ぎた約13時間後の東端欠け際を拡大撮影してみました。下の画像はフンボルトクレーターで、普段は難しい全体像を捉えることができました。画面右下のペタビウスと比較するとフンボルトはペタビウス並みの大クレーターであることがわかります。なおこの画像は、天文ガイド2018年6月号、読者の天体写真一般の部に入選しました。
Orion VX12 (D30cm, f120cm), テレビューパワーメイト 5x,  ZWO, ASI174MMカメラ。IR720パスフィルター, 30秒間の動画撮影 (1500フレーム)。AutoStakkert!2でスタック、RegiStax 6でウエブレット処理し、ステライメージ 6、Photoshop CCで画像調整。2018年3月2日22時20分。自宅にて。